Heroic Legend -序章の黒-

□第0話 王たる先導者の誕生
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コツ、コツ、コツ――――………。

ただ広い空間に静かに、しかし重く響き渡る足音。

空間の中には、白髪の髪や髭を蓄えた老人が6人、美しい顔立ちをした女性が2人、後は衛兵のような騎士のような格好をした男女が100以上いるだけだ。

そしてその足音の主は、くたびれた若葉色の髪に厳格な顔つき、片方の目にはモノクルを付け、服装は古代風な模様をあしらった神父のような服を来た男性だ。

手には、大事そうに王冠を掲げている。

若葉色の髪の男性は空間の一番奥の方まで進み、やがて一つの豪華な椅子がある所まで進んで、止まった。


コツ、コツ、コツ、コツ、コツ――――……。

男性の足音が止んでしばらく経つと、今度は別の足音が聞こえてきた。

しかも、複数だ。

若葉色の髪の男性が満足げに音の方へ向くと、数人の老人が布を持ちながら男性と同じ道を進んでくる。

その老人達の真ん中には、若い青年が前を真っ直ぐ見つめながら、歩いている。

老人達は、その青年の着ている服が床に付かないように服の布を恭(うやうや)しく持っていた。

青年は先程の男性と同じ若葉色の髪だが、明るめのライトグリーンといった所だ。
目は一切の迷いも曇りも無い、無色の水晶のような色だが、どこか悲しげな憂いの光を灯らせている。

青年は男性と同じ位置に辿り着くと、静かに目を閉じて跪いた。
青年の脇にいた老人達は、いつの間にか後ろへと下がっている。

男性が手に持った王冠を、静かに…恭しげに青年の頭に乗せた時、広間に割れんばかりの拍手と歓声が湧き上がった。


周りの人間に敬愛された青年は目を開けて立ち上がり、手を上げて歓声に応える。

「新しい王様、万歳!」

そんな声がいくつも上がり、男性は誰にも気づかれず静かに怪しく、口の端を吊り上げて笑った――――………。


「いよいよ始まる…。"ワタクシ"の計画が………」


そう呟きながら……。






←〔To Be Continued…〕
 

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