Heroic Legend -終章の白-

□第98話 北西の四天王・勝負師ギーマ
4ページ/18ページ

「両者、位置について」

審判からの合図で、ボク達はレッドカーペットに入場する。


隣にはジャルルが殺気立った表情で、ギーマさんを睨み付けていた。

今日ジャルルがボールに戻らない理由は、ボクがギーマさんとの試合から逃げないように監視する為だという。


「帰りたい…」

「おやおや、まだお互いの事をよく知らないのに帰るというのかい?」

「あまり知りたくないです…」

「……ははん、さてはそちらのパートナーに押し負けされたようだね?」

やる気の無いボクと殺気立つジャルルを交互に見て、ギーマさんはピタリとその理由を的中させた。

「もしキミが、私ではなくカトレアと戦っていたら間違い無く瞬殺だったね。リアルファイト的な意味で」

「はぁ…」

「でも、私も今日のキミ達には勝てると読んだ。断言してもいい」

ギーマさんが燕尾服のポケットからコインを取り出し、勢いよき弾く。

パシッとそれを余裕でキャッチした瞬間、コインがいつの間にかモンスターボールへとすり替わっていた。

「さぁ…ゲームスタートだ。審判、始めてくれたまえ」

「は、はぁ…」

ギーマさんのペースにすっかり飲まれた審判が「試合開始!」と、どことなく間抜けた合図を出す。

「ズルズキン」

「ガ、ガルダ!」

昨日同様、最初の様子見としてガルダを送り出す。

対するポケモンは、勿論ギーマさんのエキスパートタイプである悪を持ったズルズキン。

しめた、コイツは悪の他にも格闘タイプを併せ持っている。

前にNとライモンで戦った時、ズルッグと一戦交えた。
その進化系なら、ごり押しすれば勝てるか…?


「先攻、いただきます」

「どうぞ。レディーファーストだ」

「では、遠慮無く…ッ」

《つばめ返し》を指示すれば、一気にズルズキンとの距離を詰めるガルダ。

「ズルズキン、毒づき」

ズルズキンもガルダの攻撃に合わせて動き出す。

ファーストアタックをあえて受け、その零距離状態からの一撃をガルダの急所に浴びせる。

【ぐぁッ】

ガルダがフィールドに叩き付けられる。
見れば、身体が痙攣している。

「毒…状態!」

「ふふ、先にリーチを取られた時のような表情だね」

「お次はどんな攻撃で来るんだい?」と、楽しげな笑みを浮かべるギーマさん。

この人、ズルズキンの心配どころか、次の攻撃を心待ちにしている…。
いくらズルズキンに大したダメージが無いからって…。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ