Heroic Legend -終章の白-

□第73話 悲痛の訴え
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「それは…そうだけど…」

『まぁ、何にせよ……オレは自分の身体を捨て、クロと一つになった』

【何や…キモい言い方やな】

【焼き殺すぞ、草蛇女が】

「まぁまぁ…落ち着けって…」

殺気を露わにするゼクロムを、ボク達は必死に宥めた。


『オレは子供を異国の地へと送り、ゼクロムとレシラムと共に…愚かな人間達に、神罰という形でイッシュ国を焦土と化した。
そしてレシラムは英雄を失い、悪意ある人間に捕まらない為に眠りにつき、オレ達は…二度と英雄が誕生しない為に、代々お前達子孫の身体に憑依してきた。
…これが全てだ』


アーテルが話し終えるのを待っていたかのように、彼とゼクロムの姿が薄れ始める。

『…お前には色々すまないと思っている。
オレの身勝手な理由で国滅ぼしの罪で苦しませるのは、嫌だった。
だから、ずっと黙っていたんだ』


「…もう、いいよ。これで隠し事は全て無くなった。
逆に感謝している」

『…恨んでもいいんだぞ』

アーテルの言葉に、ボクは首を振った。


「…キミはずっとボク達を守ってきた。自分の犯した罪を誰にも言わず、抱え込んで、二度と自分と同じ過ちをさせまいとしてきた。
だから、今度はボクの番…」


消えゆく一人と一体に手を差し出す。






「…ボクが、キミ達を守るよ。必ず…守ってみせる」


【フォリア、格好つけ過ぎやで】

ジャルルが首から蔓を出す。

【全くだ…】

【それならオイラ達も】

【お前達はあまり好かぬ…が、助太刀しなければ武士が聞いて呆れる…】

ガルダは翼、ブリッツは腕。
ヤイバは前足をアーテル達の前に差し出す。

【そーそー! アタシ達に任せなさいって!】

【あの…非力ながらも、お手伝いします…っ】

ランプルとアックスも手を差し出し、アーテルとゼクロムは目を見開く。


「もう…二人ぼっちじゃないんだ。
…まだまだ未熟な部分もあるけど、一緒に行こう。
アーテル、ゼクロム!」


『…』

【…】

一人と一体は互いに顔を見合わせた後、静かに笑う。

それは、今まで見た事の無い、穏やかな笑顔だった。



『…ありがとう』

アーテルの言葉にゼクロムが頷いた後、二人の姿は光となって消える。

それは、ボクの胸の中へと戻っていくと、いつもの感覚も戻ってきた。




「…さて、行きますか」

力強く頷く皆をひとまずボールに戻し、ボクは改めてカバンを肩に掛け直す。
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