Heroic Legend -序章の黒-

□第27話 決意と異変
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ポケモンの未来は人間が決めるものなのか?


当然、答えはノーだ。

…だけど、自分自身の未来を掴みたくても人間に縛られ、苦しんでいるポケモンがいる。

人間がいなくなれば、幸せになるポケモンはどれくらいいるんだろう…?


人間がいなくなれば、悲しむポケモンはどれくらいいるんだろう…?



今までそんな難しい事は考えた事がないから頭が混乱してくる。


Nも沢山悩んだ筈だ。

沢山悩んで…考えて…。


…その結果がこれだ。

(だとすれば、それが本当の答え?)



それが真実の――――…。



《お前の『理想』は何だ?》


(え…?)

脳内に響く、いつもの声。

《お前の『理想』は何処にあるんだよ?
…バカみたいに他人の考えに流されるな》


(うぉい…いきなりバカはないだろ…)

トウヤはフンと鼻で笑いながら指摘してくる。

《ハッ、ナーバスになってるから声掛けたつもりだってのに…とんだお節介で悪うございましたね》


(…もしかして、心配してる?)

《う…べべ別に…んなんじゃねーよ》



(…分かりやすい子だ)


《ぐ……とにかく、お前はどうしたいんだ?》

(……正直、どれが正しい事なのかは分からない)

《…じゃあ、その『正しい』ってどういう事なんだ?》


(え…?)

そんな事をいきなり聞かれても分かる筈がない。



《…無いんだよ》

まるでボクが答えられないのを見越したかのように言うトウヤ。

《『正しい』とか『正しくない』なんざ、あって無いようなもの…。そんな基準は初めからある訳がないんだ。
…だから、お前は"自分がしたいと思った事" "これが正しいと思った事"を行動で表してみろ。結果は後からついてくるって言うだろ?
…本当の答えに辿り着くまで、考えて…悩んで…行動してみろ》


(…そっか…)

『正しい』と『正しくない』はボクが自分で決めなきゃいけないんだ…。

Nだって『正しい』と思った事をしている。




(だからボクも…)




やるんだ…自分の『正しい』と思う事を……。


《…お前の『理想』…見せてもらうぜ》


トウヤは少し含んだような言い方をして、奥へと引っ込んでしまった。





「…ジャルル、みんな」

今まで付けていた酸素マスクを外すと、みんなの方を見る。

【…何や? 真面目な顔しよって…】
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