Heroic Legend -序章の黒-

□第21話 ミツだらけの甘いジム
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ボクはウズウズしているヤイバを宥め、再び海を見る。

海を見るのは初めてではない。

カノコタウンにも海があり、ボクはベルとチェレンと、よく海水浴に行ったくらいだ。

【…ホンマえぇ気持ちやなぁ】

ジャルルがまったりと潮の香りを嗅ごうと、鼻をヒクヒクさせている。

ブリッツはガルダをつっついて遊んでいるが、ガルダも満更(まんざら)でもない顔で座っていた。

「……気付けば、随分遠い所まで来たな…」

【…せやな。始めはこんなトレーナーでいいんかって、思うたけどな…。
今は、アンタと旅に出れて良かった思うてる】

ジャルルはボクに寄り添いながら目を閉じている。

旅に出る事は当たり前で、ボクにとっては夢だったかもしれない。

今は旅に出て夢が叶ってしまい、もう一度夢を見つける為に旅をしている。

「…見つかるかな、ボクの夢」

そう小さく呟き、小さな仲間達を見る。

体は小さいけど、大きな存在の仲間達。

一度は突き放し、一度は引き裂かれそうになったけど、やっぱりお互いに無くてはならない存在なんだ。

プラズマ団やNは、人間とポケモンは離れるべきものって言っていたけどボクは違うと思う。

人間とポケモンは一緒にいてこそ、互いに成長していける。

片方が無くなってしまえば、もう片方も駄目になってしまう…。

「……もう、とっくに見つけてたんだな…」

【…何がだ?】

「夢だよ」

不思議そうなヤイバを撫で、ボクは空を仰いだ。

ボクの夢、それは……








『人間とポケモンが共に生きる未来を見続けたい』


事なんだ。














「…ついに来たよ、ヒウンジム」

港で思わぬ時間を食ってしまった為、ジムに着いた時は夕方近くになっていた。

「まったりし過ぎるのは、ボクの悪いクセなんだよなぁ…」

【…オレ達もだな】

【まさに、"類は友を呼ぶ"だな。】

【お、アンタらお笑いセンスありありやな】

【……で、フォリア。今日は誰で行くの?】

ガルダ達のコントに呆れつつ、ブリッツがボクに質問する。

「そうだなぁ…」

確か、アーティさんは虫ポケモンを使うジムリーダーだ。

そるなれば、ブリッツとガルダは外せないな。

ジャルルは相性が悪過ぎるから今回は休み。

という事は…。

「ガルダ、ブリッツ、ヤイバで行ってもらうね」
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