Heroic Legend -序章の黒-

□第17話 苦しみの中で
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「はい、ネク…。この中から一枚選んで、カードの絵柄を言わずに僕のレパルダスと一緒に見て」

チェレンが切ったトランプを広げて、ネクに差し出す。

「んーと…これ」

一枚選んで、レパルダスと一緒に見た。

勿論、ボクからじゃカードの絵柄は全く見える訳がない。

「フォリア…僕のレパルダスに聞いてみて。ネクが選んだカードの絵柄を」

成る程…そういう事か。

「…分かった」

ボクはレパルダスに向かって聞いた。

「ネクのカードには、何て描いてあった?」

間髪入れずに答えるレパルダス。

【スペードのジャックだ】

「うん、ありがとう…」

ボクはネクの方を見て、言った。

「…スペードのジャックって、言ってる」

ネクは目を見開いて「…当たりだ」と呟いた。

「…次は、ネクのポケモンでやってみろよ」

ヒョウガがネクに提案すると、ポケモンを繰り出すネク。

このポケモンは、ミジュマルの過去を聞いている時に見た…。

「さぁ、モノズ。このカードの絵柄を見るんだ」

チェレンから、もう一枚カードを抜き取ってモノズに見せる。

そして、ネクもそれを見て、モノズをボクのベッドの上に乗せた。

「モノズ、さっきのカードには何て描いてあった?」

【…ハートのエース】

モノズをネクに返しながら、答えを言う。

「……どうやら、認めざるをえないみたいだね」

ネクがそう言って、ハートのエースをボクらに見せた。

「信じられない…ポケモンと会話が出来る人間がいるなんて……」

アロエさんも、アーティさんも、目を丸くしている。

その話はそれまでになって、あとは他愛もない話で盛り上がった。

しかし、ボクはいきなり暴れたせいもあるか、再び熱を出してしまい、みんなのお見舞いもそこまでとなった。

「すごいね、フォリア。点滴も取っちゃったし…」

ベルの言った通り…あの時、暴れた拍子に点滴をもいだせいもあったらしい…。

「今日はありがとうね…」

「しっかり寝て、疲れを残しちゃいけないよっ!」

アロエさんに念を圧されて、ボクは大人しくベッドに潜り、みんなは帰っていった。



【…フォリア殿】

みんなが帰った後、ミジュマルがボクに話し掛ける。

「ん…どうしたの?」

【拙者を…どうか、貴殿方の旅に連れていってもらえないだろうか?】
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