Heroic Legend -序章の黒-

□第7話 ポッドとバオップ
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とにかく、スピードではこっちが有利だ。
何とか早めに勝負を着けなきゃ…。

「ガルダ、つつく!」

【目をくり抜いてやるぜ…!】

くり抜くなっ!

怖いわ!

【全く、血の気の多いボーヤだ…。ポッドそっくりだぜ…】

バオップは軽々とガルダの攻撃を避ける。

「いいぜ、バオップ。そのまま奮い立てる!」

…奮い立てるは自分の攻撃と特攻を上げる技…って、チェレンが教えてくれたな…。

連続で使われると厄介だ。

「ガルダ、もう一度つつく!」

「させるかよ……! バオップ、引っ掻く!」

攻撃をかわし、バオップは素早くガルダを引っ掻いた。

【ぐぁっ!】

奮い立てるからの引っ掻くは強力過ぎる…。
次に食らったら、多分戦えなくなる…。

【次でトドメを刺すぜ、ボーヤ】

【チッ…ふざけやがって……】

ガルダは頑張って飛んでいるが、フラフラと今にも落ちそうだ…。

「これでトドメだ! 引っ掻く!」

バオップが一気にガルダに詰め寄ってきた。

…今しかない!

「ガルダ、上昇!」

迷う事無く上昇するガルダ。

バオップはフィールドの岩にぶつかりそうになったが、軽い身のこなしで体勢を立て直した。

【空へ逃げたか…。だが、次は無いぜボーヤ…】

バオップは上昇で羽ばたいているガルダを見ながら言った。

「…空を飛ぶ攻撃!」

ガルダが急降下を始める。
その姿は、獲物を狩るハンターのようだ。

【…っ!】

バオップは、その気迫に少し怯んだが、ポッド君を見て指示を仰ぐ。

彼もそれに答えるかのように、余裕の表情で指示を出した。

「奮い立てるから引っ掻く!」

二体が激しく衝突する。その衝撃で、強風が巻き起こった。

もうもうと土煙も上がる…。

ボクは息を呑んだ。



やがて土煙が晴れて現れたのは、息を切らしていたがその場に立っていたバオップと、そばで力無く横たわっているガルダだった。

「っ……ガルダッ!」

「ワシボン戦闘不能、バオップの勝ち!」

デント君が右手を上げる。

「よしっ、やったなバオップ!」

【…当然だ。…だが、まだのようだな】



ボクはガルダに駆け寄って、彼を助け起こしていた。

ガルダは悔しそうに目を閉じている…。

「ガルダ…」

【…すまない、フォリア】

「ううん…。酷い怪我が無くて良かった…」

ボクはガルダをボールに戻して「ゆっくり休んで」と呟いた。
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