Horror forest

□第3話 〜森の秘密〜
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第3話 〜森の秘密〜


…洋館の中の大広間。

私達はそこに案内されていた。

ドアを開けると、そこは、薄暗いが美しい広い場所であった。

「うわあ…、ここもすごい…!」

「気に入ってくれたかい?良かった。それより雫、あそこを見てごらん」

「え?」


…和斗さんにそう言われたので、その方向を見ると…。
 そこにいたのは!

「夢!コウちゃん…!」

「お姉ちゃ〜ん!!」

「しずくねえちゃーん!」


…そこにいたのは妹の夢と、その友達の浅井光…、コウちゃんであった…。

「あんたら!あたし達がどれだけ心配したと思ってんのよ!」

「本当、無事で良かった…」


拓也さんと麗奈ちゃんも安心したようだ。

「全く…。本っ当に人騒がせだよな!夢と光は…!」

「うわあ!勇希くん!?」


いきなり勇希くんが割り込んできたので、私はびっくりしながら彼を見た。

「あんた…、いつの間に復活したのよ…」

「ついさっきだ!」

…だそうで。


とりあえず、全員無事で本当に良かった!

「夢、コウちゃん!もう勝手にどこかへ行っちゃダメだからね?」

『はーい!』

「そういうわけで、和斗さん!
 勇希くんを助けてくれたり、夢やコウちゃんを保護してくれてありがとうございます!
 あなたのおかげでみんな無事なんです!
 本当に感謝です!」

「いや、いいんだ雫…。ふふ…、嬉しいな…」

和斗さんは、顔を赤くしながら私を見た。

…それを見て、拓也さんは気難しい顔をしていた。


「それじゃあ…みんな。聞いてくれ。実はこの洋館に住んでいるのは俺だけじゃないんだ」

「え…?」

和斗さんがそう言うと20人程度の人々が、この大広間にぞろぞろと入って来た。

「彼らは皆、この森に気まぐれで入り、出られなくなってしまった人々だ。
 この他にもきっといるのだろうけど、保護できているのはこれだけだ」

「出られない…って…?」

拓也さんは和斗さんを見て呟いた。

麗奈ちゃんや勇希くんは顔を見合せ、頭の上に?を浮かばせていた。

夢とコウちゃんは何のことだか全く解っていないらしい。


「あの…、出られないってどういうことですか…?」

私も和斗さんに聞いた。

そして返って来た言葉…。
「ここは恐怖の森≠ニ呼ばれている。ここに入った者は二度と出ることができない…」

…みんな驚きを隠せなかった。

もちろん、私も驚いている。

「それって…。つまりもう…、あたし達は死ぬまでここで暮らさなくちゃいけないってわけ…?」

麗奈ちゃんは声を震わせながら言った。
それに続いて勇希くんも言う。

「家族にはもう会えないのか…?友達にももう会えないのか…?
 そ…、そんなのあんまりだ…」

「…どうすれば…。どうすればいいんだ…?何か出られる方法はないのか…?
 1つもないのか…!?」

拓也さんは和斗の腕を掴みながら言った。


…和斗さんは20人程度の人達に目をやった。
そしてうなずいた。

「1つだけ、方法がある。
 それは…。輝く欠片≠7つ集めること」

「かがやくかけらって何?」


夢が和斗さんに言うと、彼は少し間を置いて言った。

「輝く欠片とは、この森を成り立たせているものだ。たぶん、この森のどこかに散らばっている。
 それを7つ集めると、ただ1人だけが外に出られると聞いている」

「1人だけということは、他の皆さんはどうなってしまうんですか…?
 そのまま取り残されてしまうのですか…?」

「そうだよ、雫。でもそれだけじゃない。
 7つの輝く欠片はこの森を成り立たせているもの。
 それが全てなくなったらどうなるか…、分かるかい?」

「…この森は成り立たない…。つまりなくなってしまう…」

…和斗さんはうなずいた。


「その通り。つまり、生死の分かれ目だね。
 1人は生き残り元の生活に戻れるけど、後のみんなはこの場で死ぬ。
 結局全員は助からないんだ」




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