Horror forest

□第2話 〜恐怖の森〜
2ページ/3ページ


※ここから妖怪などの登場有り。



…私達はさらに奥へと進んで行った。


やがて辺りはさっきよりも暗くなり、何の音も聞こえてこない静寂さに、私は不安を覚えた。

「大丈夫でしょうか…。静か過ぎてなんだか出てきそうです…」

「雫…、不吉なことを言わないでくれ…。正直僕はこういう所が苦手で…」

拓也さんが軽く震えながら言った。

「お、おおオレはぜんっぜん怖くないぞ…!」

…と、勇希くんも言った。


そんなこんなで、全く平気そうなのは麗奈ちゃんだけであった…。

「みんな情けないわね…」

…ご最もです…。


…しばらく歩いていると。

テケテケ…

…と、どこからか音がしたのだった…。

「え…?今のは何ですか…?」

「さ、さあ…?僕は何も…」

テケテケ…

「ひぃっ………!!」

「バカね勇希…」

いや、バカとかではなく、怖がって当然である。
なにせその音は、だんだんこっちへと近づいてくるのだから…。

テケテケ…  テケテケ…

私はその音をよく聞いてみて思った。

「これって…、歩く音なんですか…?」

「たぶん…」

「なんでしょう…、随分歩くのが速いようで…」

「歩くのが速いだと…!?」

「しー!!静かにしなさいよ、勇希!!」

…その音はもう結構近くから聞こえた。


…そしてその音はそこで止まった…。

「と…、止まった…?」

「待て!何か来る…!!」

「え…!?」


拓也さんが叫んだ瞬間、目の前を何かが一瞬で通った…。

それに目をやると…、
顔は女の人…、そして下半身が欠損(つまり足はない)している生物が手で立っていた…。

そしてその生物は…、カマを持っていた…。

「あ…、あれは…!?」

「テケテケだあ…!!」

勇希くんが叫んだ。

「テケテケって…?」

「オレ…、この前図書館で本をさがしてたら、お化けの本を見つけたから読んでみたんだ…。
 そしたら書いてあったんだ…」

「なんて…?」

「テケテケは冬の北海道のふみきりで、列車に跳ねられて苦しんで死んだ亡霊…。
 この話をきいた人のところには3日以内にテケテケが出るって…!」

『えええええっ!?』

私達3人はいっせいに叫んだ。

勇希くんは震えながらテケテケに目をやった。

「オレ…、あの時は嘘だろって思ってたけど…、本当だったのか…」

そして、勇希くんはその場にへたり込んでしまった。


…次の瞬間、テケテケは物凄い速さで勇希くんに向かってカマを振り下ろした。

私達はびっくりして目をつぶってしまった…。


…ちょっとして、恐る恐る目を開けると…、テケテケは消えていたのだった…。

「勇希くん…!?」

私達3人が勇希くんに駆け寄ると、彼は気絶しているだけだった。

「良かった…」

麗奈ちゃんも安心していた。

「ふふ!心配してるんですね!」

「な…!心配してませんよ!!」


「…でもどうして…?」

拓也さんが顎に手を当てながら言うと…。

「大丈夫だったかい?」

と、声がした。


その声のした方を振り返ると、1人の男の子が立っていた。

「あなたが助けてくれたんですか…?」

「まあね。本当、危ないところだった。
 俺が助けなかったらその子は真っ二つだったよ」

「真っ二つって…!」

麗奈ちゃんが一歩前に出た。
それを拓也さんが止めた。

「あの、私は五木雫と言います。
 助けて下さって本当にありがとうございました」

「いや、いいんだ。
 俺は和斗。よろしく、雫…」

「はい」

そうして和斗さんは、拓也さんと麗奈ちゃんにも目をやった。

「そこの2人もよろしく」

「あ、はあ…」

「何よ…」

そして、また私の方を見て彼は言った。

「ここで話すのもなんだから、この先にある洋館に案内するよ。ほら、こっちだ」

「え…、分かりました…」

そう言って、私は勇希くんを背負った。


そんなわけで、私達は和斗さんの後をついていったのだった…。


「雫…、か…」


※テケテケを使用させていただきました。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ