HQ 長編A

□B
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「みょうじおはよ」

「あ、松川君…おはよ」

教室に着いて一発目に同じクラスの松川君に挨拶された。正直同じクラスでも殆ど話したこともないのに、何で急にって思った。
席に座る私の横に来ると、立っている松川君が高すぎて迫力が凄い。

「昨日のアレ、どういうつもりでやったの?」

「え…?」

「昨日体育館に来たでしょ?金田一になんかあげてたじゃん」

松川君が面白そうなニヤニヤした顔をこっちに向けてくる。この人ってこんな顔するんだ。もっと物静かとか、クールなイメージだった。

「別に、あれは…金田一君に色々お世話になったからっていうお礼で…」

「へぇ〜、それだけ?」

「それだけって?」

「いやぁ、なんか見ててみょうじは金田一のこと好きなのかなぁって」

「えぇ!??」

なんということを!?そんな風に見えたのかな。
確かに、一度友だちに付き添ってバレー部の見学に行った時、みんなが及川君を応援するなか背がすごく高くて一生懸命にボールを追いかけて、点をもぎ取る人がいるなぁと思ったけど。
後でその人が1年生だって知って、あんなに背が高いのに年下なんだって驚いたから印象に残ってて。
それで偶然図書室であって、傘を借りて…。いい人だなって思った。

「なにその反応、図星?顔赤いよ」

「いや、そんなこと無いから!からかわないでよ松川君」

「ふーん、でもさ、あの後金田一のやつ貰ったプレゼント大事そうにしてたよ」

「そう、か…良かった」

このまま松川君のペースに乗せられてたら、あらぬことまで言わされそうだったけど、金田一が渡したカップケーキを喜んでくれたのなら私も嬉しい。

そんなことを考えていたら、無意識に表情筋が緩んでいたらしく、ばっちり松川君に目撃され、含みを持った笑いを向けられた。
言い返そうとしたけど、ホームルームが始まってしまい微妙な話の進み具合のまま終わってしまった。
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