ハイキューお題

□令状1.
1ページ/1ページ

令状1.目覚まし時計ひとつ壊すごとにペナルティひとつ。




朝が苦手と言うより、起きるのが苦手。目を覚ませば動き出せるが、目を開けるまでの行為がしんどい。

お陰様で何個目覚ましを破壊したか…。

そんな私を甲斐甲斐しく何年も見捨てずに面倒見てくれる幼なじみ兼恋人の存在があるから、余計に甘えてしまうんだな。


「なまえ、起きなよ。朝だよ」

「……」

「なまえ!」

「……」

朝の澄んだ日差しが彼の色素の薄い髪をキラキラさせている…のは勿論布団の中で寝息をたてている私は見えないが、眉間に物凄い溝を作りゆさゆさ体を揺らす蛍にこんな態度を取れるのは私くらいだ。

蛍の足下には無残に転がる目覚まし時計が落ちていた。

「先週買ったばっかりなのに…」

呆れて拾い上げた目覚ましを哀れんでため息が出る。こうして私を起こしに来るのは小学校まで遡る。そして現在高校生…学習しないね、ホントごめん。
頭まで布団で隠れた中身は規則正しく寝息をたてている。休日なら構わないが、学校に行くとなるとそうは行かない。蛍は朝練があるから、私を起こしてから急ぎ足で学校に行く。
それが高校に入ってからの日課になった。

しかしながら、一生懸命起こしても起きない。
ならば強制的に起こさせてもらおう。と蛍がニヤリと笑った。


さて、さっきまで目覚まし時計だったものを高く掲げ、布団をずらしてなまえの顔を出した。
そしてそのまま目覚ましをなまえの真上から落下させた。



「ぶっ!?わぁ!」

寝込み中に固い物が頭に落ちてくれば、そんな反応になるよね。朝から笑える…とばかりに笑った。

「蛍!?なにすんの!?」

「何回起こしてもおきないからデショ」

「それにしても、もう少し優しく起こしてよ!」

優しく起こすなんて、絶対起きないから。それはに確固たる自信がある。

「てか、先週買った目覚ましもう壊したの?何個目?」


「…3個目…?」

「これさ、僕の貴重なオフを使って一緒に買いに行ったやつだよね?それをもう壊したの?僕の貴重なオフもう無駄にしたの?」

「ご、ごめん」

只でさえ背が高い蛍に見下ろされると、朝から寒気がする。

「わかった。じゃあこうしよう。1個目覚まし壊す事に駅前のカフェのショートケーキ奢るってことで」

「え!?あそこのケーキ高いじゃん!」

「だからだよ。ペナルティーがあった方が気をつけるだろうし。なまえがちゃんと起きればいいし、壊したら僕がラッキー…ね?」

『ね…?』って何だ。爽やかな笑みの裏に腹黒さが隠しきれないではみ出している。
そして私が起きたことで、さっさと朝練に行ってしまった。



20141025
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ