ハイキュー!! 長編
□G
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放課後、部活に行く直前に及川先輩と岩泉先輩にメールを送った。その後直ぐに鞄を更衣室に置いてきたから返信を確認できなかった。
「影山!」
「なんスか?」
坂を下る影山を後ろから小走りで追いかけると、振り返った影山が歩くのを止めた。
「岩泉先輩と及川先輩にメールしたよ」
「そっスか」
「でね、返事来た」
「良かったスね」
その表情は喜んでくれているみたいで、いつもより柔らかかった。
「…ありがとね。影山が聞いてくれて助かったよ」
影山が話を聞いてくれたりアドバイスをくれなかったら、きっとこんな展開にはなっていないし、練習試合があってもこんな進展はない。
「何て連絡来たんですか?」
「及川先輩も返事くれたんだけど、岩泉先輩が『また連絡する』って」
『また』。この言葉は次があるって事を意味している。
今回限りの繋がりじゃなくて、この先また岩泉先輩との関わりが持てる。
それが嬉しくて、ついつい顔がにやけてしまう。
「嬉しそうっスね。やっぱりなまえ先輩はそうやって笑ってた方がいいですよ」
「っ…影山ーー!!」
「うおっ!?」
最近の影山の言動は、私の涙腺を緩めるのが得意なのか。無愛想な影山がそう言うと感動を覚える。
「影山くーん。性懲りもなくまたしてもウチのマネージャーとオイシイことしてるんですか?コラ」
タイミング良く?悪く?影山に抱きついたところを龍に見られてしまったが、離れてやらない。
「影山は私の命の恩人なんです!邪魔しないで」
「なっ!?」
私の発言に龍は泣きながら走り去っていった。
「コラみょうじ、あんまり田中を苛めるな。それに公衆の面前で後輩とイチャつくの禁止だ」
「大地…先輩。スミマセン」
大地先輩に言われたら止めるしかない。だって後が怖い。
「影山、ホントにありがとね。また何かあったら話聞いてくれる?」
「はい」
これ以上影山を拘束しても悪いと思って、軽く挨拶をして別れた。
同じ道を毎日歩いているのに見える景色が違く感じる。
やっぱり岩泉先輩のこと、まだ完全に諦めてなかったんだな。
家に帰ってまた返事をかえそう。
どんな文章にするか考えるだけで、足取りが軽くなる。約2年間一方通行だったやり取りがこれだけで無かったことに思えるくらいの嬉しさがある。
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