隣で。
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−誰かがドアを開けた音がする。
その音の主が誰か、永にはよく分かっていた。
だからこそ、無視して布団にくるまる。
「おい、起きろ永」
ここでサプラーイズ!!
…があるわけもなく、永の予想した通りの声と言葉が頭上から降ってきた。
それでもだんまりを決め込み、布団の中で丸まっていると
またも予想した通りの言葉。
「起きろっつってんだろが糞ガキ!!遅刻すんぞ!!」
そこでようやく顔を布団から出し
「おはよう妖一、起こしてくれてありがとう。それじゃあおやすみ!!」
と言い放ってまた布団へ潜る
「…ざけんな、三年寝太郎かてめえは!!」
蛭魔は永の布団を剥ぎ取った。
「な…寝る子は育つ、藤崎は未来への投資中だったのに!!人の未来を奪ってはいけない!!」
蛭魔は何もいわず永の頭を叩き、リビングに戻った。
……永が未来への無駄な投資を再開しないよう布団を担いで。
永は仕方がないので起きることにして、蛭魔の後に着いてリビングへ向かった。
「妖一」
「んだよ」
「眠い。」
「そうか、よかったな」
「すごい眠い。」
「そうか、よかったな」
「もの凄く眠い。」
「そうか、よかったな」
「……妖一」
「あ?」
「話、聞いてた?」
「聞いてる訳ねえだろ」
「ひ…ひどい!!」
……そう、可哀想な子なのだ。