隣で。

□ep1
2ページ/7ページ

−誰かがドアを開けた音がする。
その音の主が誰か、永にはよく分かっていた。
だからこそ、無視して布団にくるまる。

「おい、起きろ永」


ここでサプラーイズ!!
…があるわけもなく、永の予想した通りの声と言葉が頭上から降ってきた。

それでもだんまりを決め込み、布団の中で丸まっていると

またも予想した通りの言葉。

「起きろっつってんだろが糞ガキ!!遅刻すんぞ!!」




そこでようやく顔を布団から出し
「おはよう妖一、起こしてくれてありがとう。それじゃあおやすみ!!」
と言い放ってまた布団へ潜る




「…ざけんな、三年寝太郎かてめえは!!」
蛭魔は永の布団を剥ぎ取った。


「な…寝る子は育つ、藤崎は未来への投資中だったのに!!人の未来を奪ってはいけない!!」


蛭魔は何もいわず永の頭を叩き、リビングに戻った。






……永が未来への無駄な投資を再開しないよう布団を担いで。



永は仕方がないので起きることにして、蛭魔の後に着いてリビングへ向かった。

「妖一」
「んだよ」
「眠い。」
「そうか、よかったな」
「すごい眠い。」
「そうか、よかったな」
「もの凄く眠い。」
「そうか、よかったな」
「……妖一」
「あ?」
「話、聞いてた?」
「聞いてる訳ねえだろ」
「ひ…ひどい!!」






……そう、可哀想な子なのだ。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ