365。

□優しさと思い出話
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『うっ、』



窓から漏れる太陽の光が眩しく目が覚めた
今日は休日だというのについて無い
目が覚めるとなぜか急激に喉が渇いたのでそのまま起き上がり冷蔵庫に向かった


ゴクリと音を立ててコップに注いだ麦茶を飲み干せば訪れる潤い
満足した私は近くのソファーにダイブした
やっぱり休日は寝て過ごすにかぎる…


ピンポーン


丁度眠りかけたとこにインターホンが鳴った
体が反応したが、脳が動きたくないと信号を送ったので結局体は動かない


ピンポーン…

ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン


『迷惑なんですけど!!!』


バンッ


耐えきれず文句を言いに行くと見知った金髪が目に映った



泥「お、出てきたな、うん」


『で、デイダラ!?』


泥「今日暇なんだろ、うん?遊び行こうぜ」


『え、何言って…』


泥「いいから!」


そう言って私の腕を引っぱるデイダラ


『よくないよ!?それに私パジャマだしっ』


泥「服くらいオイラが買ってやるって、うん!」



困惑しているとされるがままに車に乗せられた
車はデイダラの合図によって発進し、降ろされた場所は可愛い建物の前だった
その間一部始終笑顔で楽しそうなデイダラが隣にいた


泥「まずは着替えだな、うん」


『わぁっ』


入るとすぐ思わず声がでてしまった
サソリ先輩に連れて行かれたところの衣装室にあった服も可愛い物ばかりだったけどここの服も負けず劣らずの可愛い物ばかり置かれていたのだ
ここはお店なだけあって衣装室よりもすごい


「いらっしゃいませ、ご自由にどうぞ」


泥「うーん、そうだな…」


『デイダラ?』


泥「とりあえずこれ着てみろよ、うん」


『え、う、うん?』



渡されたのはふわりとした感じのワンピース
変わったレース生地と大きめのリボンが可愛い
試着室に案内してもらってそれを着てみる



『(うわ〜可愛い…服が)』


似あわなすぎて恥ずかしいが外で待っているデイダラがいるので試着室のカーテンを少し開けて控え目に顔を出した


泥「終わったのか、うん?」


『う、うん…』


そう返事を返すとデイダラは一瞬眉をひそめたが次の瞬間カーテンを全開に開けた


泥「なら見せろよな、うん」


『…』


デイダラって意外と大胆だな…


泥「…///」


『デイダラ?』


泥「あ、ぇと、似あってるぞ、うん///」


『そうかな?ありがとう』


泥「…っそれにしよう、うん!」


『でも私お金持ってきてないから』


泥「オイラからのプレゼントだよ、うん!」


『え、悪いし、一旦家に帰ろう?』


泥「今日はオイラが無理やり連れ出しちまったからな、そのお詫びだって、うん!」


『でも…』


無理やりってわかってたんだ…

私はデイダラに気付かれないようにチラッと値札を見た

じゅっ…10万!?


泥「よし、決まりだな、うん」


『ま、待ってデイダラ』


泥「一括で、うん」


『ぇえぇっ、高校生がカード払い!?』


泥「どうかしたか、うん?」


『もう、何でもない…』


改めてデイダラも暁クラスの一員なのだと思った



泥「さてと、どこか行きたいとこあるか、うん?」


『ううん?』


泥「うーん、てきとうに歩いてみるか」


はァ、何で私こんなとこにいるんだろ
休日は寝て過ごすはずだったのに…
意思と違うとはいえこんな高いワンピース、とサンダル買ってもらって帰るわけにはいかないし…



泥「名前!これ見てみろって、うん!」


『デイダラ!?』


泥「クマのぬいぐるみが動いてるぞ、うん!!」


名前を呼ばれて振り向けば目を輝かせたデイダラがクマの着ぐるみに抱きついていた


『デイダラ!それ着ぐるみ!恥ずかしいからやめて〜///』


泥「これ着ぐるみってのか、うん」


『知らないの!?』


泥「初めて見たぞ、うん!」


『そんな自慢そうに言われても…』


泥「実を言うとなこの辺にきたのも初めてなんだ、うん」


『え、この辺に住んでるんじゃないの?』


泥「まぁ、な。でもほらオイラバカだから、親父が外に出してくんなくてさ、うん」


悲しそうに笑うデイダラにかける言葉が見つからなくて言葉に詰まる


『そう、なんだ…(デイダラの家って何してるとこなんだろ)』


泥「そんな顔すんなって!高校なってから”社会勉強も必要だ”なんて言い出してさ、ようやく自由に外出できるなったんだ、うん」


『そっか、ならいっぱい遊ぼう!』


泥「うん!」


デイダラにも色々あるんだな…
そうだよね、お金があるからって幸せとは限らないよね
デイダラがそうなら、みんなはどうなんだろ?


『デイダラってさみんなといつから知り合いなの?』


泥「―――旦那とは小さい頃からの付き合いだな、うん。イタチ達とは小学からか、飛段は中学だな」


『サソリ先輩とはずっと一緒なんだ?』


泥「気がついたらいつも一緒だったんだ、うん!
出会いとか懐かしいな、あいつら会った時から変わっててさ、うん!」


懐かしそうに話すデイダラを見て私も昔の友達を思い出して少し寂しくなった



『そうなんだ、』


泥「…名前は、旦那のこと嫌いか?」


『え?』


泥「昨日、旦那のこと怒ってたみたいだったから、うん」


『…えと、』


昨日のことを指摘されて、少し焦る
怒ってたのかな、私
私が怒る理由なんてないはずなのに…


泥「そりゃ口は悪いし乱暴だし、性格はちょっと捻くれてっとこあるけど、旦那悪い奴じゃないから、うん」


『…うん!』


私が頷くとデイダラは"へへ"と言って照れくさそうに鼻をかいて笑った
デイダラは優しいな
デイダラと一緒にいると心が温かくなる
”サソリ先輩”とは違う…


今日はいっぱい遊ぼう、デイダラと遊んで昨日の気持ちはなかったことにしよう
そう自分に言い聞かせた

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