短編

□会いたい
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イタチと私は幼なじみだ 年が近いこともありイタチと比べられることも少なくなかった
イタチは天才だ、私はどちらかと言うと努力して努力しての天才で、イタチについていくのにも一苦労



でも私とイタチは仲が悪くなることはなく
私はイタチを慕い、イタチは私を可愛がってくれた



そんなイタチと同じ立場に立つことができたら伝えようと決めてたことがあった

そしてついに私も今日からイタチと同じ暗部入り
その時がきたのだ


『イタチ!』


「名前、暗部入りおめでとう」



おめでとう、そう笑顔で言われて頭を撫でられる


「頑張ったな」


『…うん!
これから一緒に任務すること増えるかな?』


「…あぁ、たぶんな」



私の頭を撫でていたイタチの手が止まったのでイタチを上見上げた
イタチは私を見るわけでもなく遠くの方をただ見ていて、その姿がとても寂しげでどこかに消えてしまいそうで思わず抱き締めていた



「名前?どうした?」



顔は見えないけれど声から驚いているのがわかる
どうした?って言いたいのはこっちだよっ。
でもね、そんな言葉よりも今言わなきゃいけない言葉がある気がしたんだ



『私ね、イタチが好き』

「…っ」


言っちゃった
けど後悔はしてない
でも、イタチの表情を確かめることはできなくて逆にイタチの胸板に顔をおしつけた
そんな私の頭をまたイタチは優しく撫でた



「ありがとう、

 
   俺も、好きだ…」


何かを振り切るように吐かれた言葉…

す、好き?イタチも私を?嬉しくて嬉しくて目頭が熱くなった


『それじゃっ…!』


「でも、お前とは付き合えない」


『な、んで?』


嬉し涙が悲し涙に変わる
好きなのに、どうして?どうして?そんな疑問が何度もぐるぐると頭をめぐった
そんな疑問もイタチがあまりに苦しそうに笑うから何も言うことができなかった



「帰ろう…」


私を自分から引きはがすとイタチはそう言った
そして私の手をひいて歩き出した


これでいいわけないよね…


『…イタチッ!』


名前を呼ぶとゆっくりと振り返るイタチ、そのイタチの首に腕をまわしてキスをした
私の思いが伝わりますように、と願いを込めて


唇を離して閉じていた目を開けると目を見開いて驚くイタチと目が合った


『っふ、ぅっ』


堪えていた涙が出てきてしまった
こんなにも好きで両想いになれたと思ったのに付き合えない…
何の罰かな、イタチは何を考えているの?


「名前…」


イタチが私の名前を呼ぶけど涙を堪えるのに必死で言葉がうまくでてこない
泣きじゃくる私を抱きしめてイタチはまた私の名前を呼んだ、私を求めるように
それには小さく鼻声だけどなんとか返事を返した


「キス、していいか?」



その言葉に再度涙があふれ出す
口に出す代わりに何回もこくこくと頷いた
涙や鼻水でぐしゃぐしゃになった私の顔をその温かく大きな手で包み込むと重なる唇
柔らかくて、気持ちよくて、私の唇に吸いつくように重なる唇が私を求めてくれているのだと嬉しくなった


長いキスに戸惑い少し目を開けてみれば綺麗に整ったイタチの顔が近くて慌てて目を閉じた
あたり前なはずなのにドキドキが止まらない
1人ドキドキしていると唇が離れていった
それが寂しくてまた涙が零れそうになった


「そんな顔をするな」


『え、』


「ごめんな…」


『イタチ…?』


"許せ"最後にそう言われた気がした
そこで私は意識を手放した


目を覚ますと病室のベットに寝かされていた
部屋は個室みたいで他の人はいない
どうしてここにいるんだっけ…
その疑問はすぐに解決した


目を覚ましたと連絡を受けた暗部の1人が私のところへ現れた
その暗部は私に躊躇することなくすべてを淡々と話した

イタチが私と弟のサスケを除いたうちは一族全員を皆殺しにしたこと、そして里を抜けて抜け忍になったこと
今現在行方不明だということ
すべてを話し終えると姿を消した


それを聞いた私は力なくベットに倒れ込んだ

イタチがうちは一族を皆殺しにしたとか、抜け忍になったとか、そんなのどうでもよくて


ただただイタチに会いたくてたまらなかった


あなたはどこにいるの?

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