短編

□私の上司は×××でした!
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私は数日前里を抜けた
抜け忍を里が許すわけもなく追手はすぐさま私の前に現れた
戦っては殺し戦っては殺し、安心して眠る暇さえない、そんな日々を過ごし限界を迎えた私を拾ってくれたのは他でもないあのS級犯罪者組織暁のリーダーペインだった



組織に入り、体力気力とも回復したところに再びペインは現れた


「体調はどうだ?」


『おかげ様で良好です』


「そうか。わかってると思うがお前にはこれから暁として任務を行ってもらう」


『…はい』


「まぁそう固くなるな。お前は暁のメンバーの部下としてだ」


『…?』


「確かお前は砂出身だったな?」


『はい?』


「なら"赤砂のサソリ"は知っているな?今日からそいつの部下だ」


赤砂のサソリ…!!
知ってるなんてもんじゃない、私はその人に憧れて傀儡師になり里まで抜けた
まさかこんな所で会えるなんて夢にも思っていなかった


「これがサソリの部屋までの地図だ」


『あ、はい』


地図を受け取ると、ペインは何も言うことなく姿を消した
取り合えず地図を頼りに部屋を出た



『(き、緊張する…)』


複雑な経路でもなくすぐ辿りついた
しかし部屋の前までくると緊張からか動けなくなってしまった
やっぱりノックはするべきだろうか、やけに重く感じる腕を動かす


静かに2回ノックすると、中から"入れ"と声が聞こえてきた
これがサソリ様の声か。初めて聞いたその声が嬉しくて堪らない



慎重にドアを開けると部屋に灯りはなく暗闇が広がっていた


『サソリ、様?』


「ククッ、お前が俺の部下に配属されたやつか?」

『は、はい』


「リーダーから話は聞いてる、お前も砂出身なんだろ、俺のことは知ってるか?」


『も、勿論です!』


「…ククク、俺も有名になったじゃねぇか」


『…っ』


「1つ、お前に質問だ。なぜ里を抜けた?後悔はしてねーか?」


『…私は、

貴方に会いたかった。何で抜け忍の道を選んだのか知りたかった。傀儡のこと教えて欲しかった。

私は、貴方に会えて後悔なんてしてません!』


言い終わってからやけに恥ずかしくなってうつむいてしまった
自分で言っておきながらこれって、ほぼ告白ではないでしょうかね?


「クククッ、お前名前は?」

『名前です、』


名前を名乗ると同時に部屋の明かりが灯った
暗いところから明るくなると目がチカチカした


「まぁ、よろしくな」


チカチカと奮闘すること数秒
私の瞳はようやくサソリ様を映した
が、

えっと、ぇ、誰ですかこの美少年!?
サソリ様なの!?
でもサソリ様が里を抜けたのは確か…


『あの、本物?』


「クククッ、あたりめぇだろ。それより茶だ」


『あ、はい』


困惑している私に早速命令がくだった
初めての仕事だ。
お茶を煎れるだけなのに手が震える
言われた通りお茶を持って行くと



「良くできた」


なでなで…


『あ、の、子供扱いしないでくれません!?それにどこ撫でてんですか!』


「ケツ」


『や、そこ、即答しなくていいとこなんですけど…』


「つーかお前胸ねぇな、テンション下がるわ」


『(あれ、あれれ)ぇ、ごめんなさい…』


「別に謝ることじゃねぇけどよ。クククッ、俺がでかくしてやろーか?」


『(もしかして、もしかしなくても…)』


「ほら、胸だせよ」


『さ、サソリ様のスケベー!!(サソリ様ってそうゆう人でしたかぁあ!?)』


バチンッ


「って」


思い切りサソリ様の頬を叩いて部屋を逃げだした
後のことはもう知らない!
私はこれからの生活に不安と身の危険を感じ取った



(クククッ、新鮮な反応だな)
(こ、こんな人に憧れてたなんて…)

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