短編

□可愛い
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パチリと目が覚める
アジト内にある自分部屋の天井が視界に入った、時計に目をやるとPM11:00
起きなきゃ、と頭ではわかっているのに体が動いてくれない


『いたッ』


突如全身に走った激痛に顔を顰めた
激痛の理由を確かめるように体をみると包帯が点々と巻かれていた


そうだった、昨日任務で失敗して傷負ったんだった
思い出したら何だか自分に腹が立って無理やり体を起こして部屋を出た



自然とみんながよく集まる部屋に足を運んでいた
ドアを開けて部屋に入るとシン―――と静まり返っていた
みんな任務に出払ってしまっているのだろうか
誰かと話したかったけど誰もいないならしょうがない
諦めて部屋に帰ろうとした時だ
部屋のどこからかくちゃっと粘土をこねるような音が響いた


『デイダラ…?』

「・・・」

『いるなら言ってよ」

「旦那じゃねぇぞ、うん」

『は…?』


知ってるし、そう言おうと思ったけどやめた
いつもより低い声、私と目を合わせようとしないし、こりゃ完璧拗ねてるな…
さて、どうしたものか
デイダラに聞こえないようにため息を吐いてから隣に座った


「怪我…」

『え?』

「怪我大丈夫なのかよ、うん?」

『あ、うん』


いきなり話しかけてくるからびっくりした
拗ねてるんじゃないのかな?


『デイダラ、散歩にいかない?』

「行かねぇよ、うん」


ありゃ、今度はつれないなぁ
拗ねてるのか、普通なのかはっきりして欲しい
一度立ったけど散歩は断わられてしまったので座りなおした
デイダラはそれから一言も話さなくなった
私はそんなデイダラの肩に頭を預けて目を閉じた


「オイラ、」

『…ん』


うとうとし始めた時だ、デイダラがようやく口を開いた
話がわからないまま適当に相槌をうってしまった


「次は絶対守ってやるから、うん」

『…う、ん?どうしたの急に』

「昨日、オイラ助けてやれなかったから」

『そんなの、しょうがないじゃん』

「しょうがなくねぇよ、うん!だって旦那は助けたんだろ!」


あぁ、なるほどね
何でデイダラが拗ねてるのかようやくわかった
昨日はデイダラとサソリと私のスリーマンセル
負傷した私を助けてくれたのがサソリってわけだ


「何笑ってんだよ、うん」

『だって、』

「だって何だよ、うん?」

『(拗ねてる理由が可愛くて…、なんて言えるわけないよね。デイダラ可愛いって言うと怒るし)何でもないよ』


私がそう答えると納得してないって顔してたけどそれ以上は追及してこなかった


泥「…散歩、行こうぜ、うん」

『うん!』


さっき断ったことを気にしているのか、少し言いづらそうに言ってきたデイダラにそう返すと手を差し伸べてきた
その手をとって立ち上がるとそのまま手を繋いで散歩という名の久々のデートに出かけた

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