短編

□Sな彼にふりまわされてます
1ページ/1ページ


『あぎゃぁああ!!ギブギブぅ!!』
「んー?」
「三郎!やめなって」
「雷蔵、ちっ、しょうがないな」
『いたたっ、』



みなさん、始めからお見苦しいところをすいません
つい先ほどまで三郎から関節技をくらってまして



「三郎さぁ、彼女にはもっと優しく接するべきだよ」
『うんうん』
「いいだろ別に、俺の勝手じゃないか」
『いや、全然よくないからね。被害者私だからね』




三郎、雷蔵くんとは柔道部に入ったのがきっかけで知り合った
それからぼちぼち小さな会話から始まり、今ではどこに行くにも一緒に行動を共にする友達になっていた
いや、三郎とはつい最近違う関係になったと思うんだけど、なんだかなぁ




「そろそろ休憩にしようか?飲み物買ってくるね」
『うん、お願い』



雷蔵君を見送ってから三郎の方を見ると寝転がって目をつぶっていた
その姿を見つめているとパチリと目を開けた三郎がニヤリと口角を上げた
そして「こちに来い」と言わんばかりにに私に向かって手招きをしてきた
私は嫌々ながらも三郎の近くに座った



「お前な、もっと近くに来いよ」
『嫌だよ、何されるかわかんないもん』
「されたいだろ?」
『んなわけないでしょ!』
「・・・」
『わっ、』



三郎がいきなり黙りだしたので嫌な予感はしていたが、やっぱり予想は当たったらしい
視界が反転したと思うと次に視界に入ったのは意地悪な笑みを浮かべた三郎だった




『さぶろっ、あいたたたっ!!痛い痛い!』
「ん?どうした?」
『どうしたじゃないから!関節技かけといてとぼけないでよ!』
「俺はお前の痛がる顔が好きなんだよ」
『(こっ、このドS魔人がぁぁああ!)』
「ま、冗談はこのへんにして今日はどうする?私の家に来るか?」
『(冗談に聞こえないし…)嫌だよ、家に行ってまで関節技かけられたくないしね』
「関節技以外ならしてもいいのか?」
『ダメに決まってるでしょ!なんか、三郎が言うとイヤラシイよ』
「ん?何がイヤラシイんだ?イヤラシイのは名前の思考回路だろ」
『なっ!三郎と一緒にしないでよ!』
「う〜わ〜、名前のえっち〜」
『ば、バカぁあ!』



そう言ってぽかぽかと三郎を叩いていると後ろから笑いをこらえるようにして笑う声が聞こえた
振り向くとそこには口に手をあてて笑いをこらえてる雷蔵くんがいた




「盗み聞きとは趣味が悪いぞ雷蔵」
「ごめんごめん、(気づいてたくせに)」
『ち、違うからね雷蔵くん!』
「何が違うんだ?」
『何もかもだよ!三郎のバカ!』
「あははっ、やっぱり仲いいね」
『えっ…!?』
「…まぁな」



この言葉には私も雷蔵くんも目を丸くさせた
雷蔵くんはその後笑って三郎の肩に腕をまわした



『(2人の方が仲良く見えるのは私だけかな?)』



ひそかな疑問を抱いていると三郎に名前を呼ばれた



「名前帰るぞ」
『う、うん!』



小走りで三郎の隣に行くと笑って頭を撫でられた
私の頭を撫でた手はそのまま私の左手に重なるとぎゅっと握られた
いわゆる恋人つなぎというやつだ




Sな三郎も三郎らしくて嫌いじゃないけど、優しい三郎も私は大好きだ
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ