その後の彼等
□風邪を引いた日
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「七海殿ー!風邪を引いたとは真かー?!」
「あの丈夫な七海殿が?!」
「こーんなちっこい頃にわしを投げ飛ばした七海殿が・・・」
「死なないでくれええええ!!」
『っるせぇ!!誰が風邪なんぞで死ぬか!!』
この喧しい奴等は俺の飲み友なのだが、何処から聞きつけたのか狭い我が家の寝室に勢ぞろいしている。
「ささ、赤笹の実でも食べて・・・」
『それは毒消しだろうが。』
「では、ハバンの実を・・・」
『俺、ドラゴンタイプじゃないし・・・ってか、何でそれここにあんの?!』
っつーか、メフィストは何処に行った?
怪我人に接客させるのも気が咎めるが、居ないと逆に不安だな。
部屋で寝ているのか?
『・・・ダルイ、お前等はもう帰ってくれ・・・』
「嫌じゃよ。」
「人の嫌がることをするのが我等の仕事ですので。」
『・・・有休取れよ・・・』
ヤバイな、視界がぼやけてきた・・・・
心なしか意識が朦朧とす・・・・る・・・・
『メフィスト・・・・』
「瑠璃、瑠璃!」
『んぁ?』
「大丈夫ですか?ひどく魘されている様でしたが・・・。」
『・・・昔の夢みてたわー。コレって、走馬灯?』
「・・・ただのデジャブでしょう☆」
そう言って窓のカーテンを開けるメフィスト。
とたんに日が射して、窓際の影が映った。
ん?これは・・・
「七海殿!」
「お見舞いに参りましたぞ!」
「桃缶もありますぞ!」
窓の縁には梟やら栗鼠やらといった獣が仲良く並んでいた。
『・・・お前等、いい加減故郷、学名:あの世へ帰れ。』
「我等は鬼ではございませぬ!」
「折角このようにかわいらしい外見に化けてまいりましたのに、なんというお返事か!」
「メフィスト殿!なんとか言ってやってください!」
「友人は大切にするべきですよ、瑠璃☆」
『俺の味方は何処にもいねぇのか・・・。』
まあ、こいつ等のお陰で疲れてよく寝たから風邪は治ったんだけどな。
頼みもしないのに俺のとこに集まって騒いで、疲れたと言って帰っていく。
煩いくらいなのに、なぜかいなくなると急に寂しくなる。
・・・なんでだ?
「貴女はいいですね、いい友人がたくさんいて。」
『君にはいないのか?メフィスト。』
「・・・ええ。あのように呼ばずとも来てくれる友人は。」
『・・・俺は?』
「は?」
『それ、俺はカウントされてないの?』
「え?いえ、その・・・」
『俺は、メフィストの友人兼恋人兼婚約者の瑠璃だよ?』
あとがき
友達っていいよネー☆って話。
私の友人は皆ウチへ来ても漫画ばっか読んでますが、居なくなると急に部屋が広く感じます。
瑠璃さんは、自分の弱さを自覚してますので、人に頼るということもします。
というか、他力本願です。
しかし、普段そんななのに、ピンチのときは一人でいたがる不思議ちゃんなのです。
まあ、それを放っておくような聞き分けのいい友人はいないのですが。
妖怪は基本天邪鬼ですので。