その後の彼等
□ただいま
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窓の無い部屋にて
『さて、俺はそろそろ行くよ。』
「「「「もう来てはくれないのですか?」」」」
『うん・・・。はは、俺はこんなことを言ってばっかりだね。”君達”には悪いけど。』
「「「「貴女は非道い人。ワタシ達を食べてしまった。」」」」
『君達は俺の中で生き続けるのさ。』
「「「「それでもワタシ達は貴女の”しあわせ”を願ってしまうの。どうして?貴女はこんなにも・・・残酷なのに。」」」」
『しあわせ、か。今はどちらかといえば普通の日常が欲しいかな。』
「「「「貴女は変わった。変わってしまった。もうワタシ達を造った頃の高慢な貴女はいないというのか。」」」」
『さあね。・・・然様なら。』
瑠璃は中に溶けていく。
彼女の目は銀に染まり、白い神の炎を灯していた。
ファウスト邸内 瑠璃の部屋
『ふぅ。』
「やっと戻りましたか。」
『ああ。ただいま、メフィスト。』
「目のほうはまだ戻っていないようですね・・・。」
彼の手が俺の目を覆う。
『ふふ、何をする気?』
「貴女があまりに白いので。・・・穢してしまいたくなりましてね☆」
『お好きなように。』
目隠しされたまま、彼は俺の唇に噛みついた。
『ん・・・ふぁ、はうぅ!』
「大分神気が増しているようですね・・・早く”こちら側”に堕ちてくださいな☆」
『は、悪魔になる気は、無いがな。っはぁ、早く、メフィストの、頂戴?』
「・・・・・いつもと同じだと思うなよ。」
『は?・・・きゃうっ!!』
噛み付いたとたん、牙が熱くなって、彼の肩から顔を離した。
「如何です?」
『体が、熱い?!なに、これ?・・・メフィストが、何か、したの?』
「いいえ?貴女が”あちら側”に長居した所為でしょう。聖水は効かずとも、今の貴女には魔力は毒のようだ。・・・体に馴染むまで付き合って差し上げましょう☆」
『・・・・・意趣返しのつもり?』
「はて、何のことやら分かりませんねぇ☆」
こうは言っているものの、メフィストは絶対に俺がかつて彼の包帯を一気に剥いだときのことを根に持っているのだろう。かなり情けな・・悲痛な叫び声が部屋中に響いていたのを覚えている。
『くうぅ、あァっ!・・・きゅうううん。』
「情けないですね、瑠璃。これくらいで音を上げるなんて。ほら、厚いなら服を脱いでは如何?」
『・・・変態。』
「何とでも。」
結局俺は服を脱ぐことにした。メフィストの思い通りというのが気に入らないが、今は仕方ない。・・・・が、服に手をかけたとき、彼は続けてこう言ったのだ。
「ただし、私の上で、ですが。」
『なっ?!』
「嫌ならずっと辛いままですよ?」
『・・・・・・』
俺はこんなときに限ってフォーマルなシャツを着た封時間前の自分を心底呪った。・・・彼氏の目の前でシャツのボタンをひとつひとつはずして脱ぐなんて恥ずかしすぎて死にそうだ。
『・・・・・(ふるふる)』
「怯えているんですか?瑠璃。こんなにも震えて。」
『っ!冷たっ!』
「貴女が熱いからですよ☆」
『ひゃうん!そんなに触っちゃ、やだ・・・』
「嫌といわれるとますますシたくなりますね。」
肩、胸、お腹、と撫で回す手が恨めしい。
犬のように這いつくばってされるがままの俺はなんて淫らなんだろう。
冷たい手が太ももの間に触れたとき、確かに俺はそう思った。
「・・・瑠璃?大丈夫ですか?」
『大丈夫ではないな。・・・ちょっと怖かった。』
「ごめんなさい。でも、こうするしか貴女を元に戻す方法は無かったので。」
『嘘だろ?!絶対途中から愉しんでたろ、君は?!』
「・・・否定はしません☆」
『しろよ!!』
「では、貴女はもう少し大人しくしていてくださいな☆」
『・・・善処する。』
「・・・・・・」
『・・・分かったから!無言で圧力かけるのやめてー!』
鏡でも確認したが、どうやら目の方も治ったようだ。
魔力は戻ったのに体がまだ熱いのは、きっとメフィストの所為だ。そうに違いない。
っていうか、後ろから抱きつくの止めてくれないかな、多分俺もコイツも今、服着てないのに!
あとがき
現代編復活したと思ったらこんなん書いてる自分って一体何なんだろう・・・。