しあわせってなんだっけ?
□薬屋
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『あ!雨鎖じゃないか!久しぶり!』
「久し過ぎるよ、瑠璃。お陰で設定にひびが入っちゃったじゃないか。」
『”人間と名乗っている”ってことにすれば?』
「〜っ!まあいい。こうして妖のあたしに学生としての籍を与えてくれたのもお前だから。」
『お礼なら、理事長に言ってくれ。』
速水雨鎖は妖だ。兄貴と同じく”人間”として生きている。半妖か否かはよくわからないが、辰巳(たつみ)の子供らしい。辰と巳(へび)の間の生き物で、とにかく魔力が強い。
「ほら、今月分の薬草だ。」
『danke。手騎士として、上手くやってるか?』
「無論。”みき”もいるしな。」
〈みー!〉
”みき”は緑男だ。雨鎖のポケットの中から顔を出している。
『・・・”籠の鳥”は嫌か?』
「クドい。お前こそどうなんだ?」
『俺は・・・「わん!」・・・?』
振り向くと足元に見慣れたピンク犬が立っていた。いつの間に。
『よお!メフィ君。』
「メフィ君?ってまさかソイツ、理事長なのか?!」
「そうですよ、雨鎖さん。私がメフィストフェレスです☆瑠璃、これが普通の反応ですよ!」
まるで悪戯が成功した子供のように喜ぶメフィスト。
『悪かったな。嘘でも驚いて見せるべきだった。』
「何ですか、ソレ?!一周回って反って大人気ないですよ、瑠璃?!』
「な、なあ、お二方。もしかして二人って付き合ってたり、するの?」
『ん?うん、そうだよー。メフィ君は俺の恋人♪』
「〜っ!!瑠璃!そろそろ離してください!っていうかアナタ、さっき私に変な術かけたでしょう?!先ほどから全然人型に戻れないのですが?」
『残念だったねェ?当分その姿のままだよ。』
「・・・あ、はは。仲良さそうだな。じゃ、アタシはこの辺で、」
お暇するわ。と、雨鎖は辰の翼で一目散に逃げていった。
あとがき
すっかり忘れていた友人設定を引っ張り出してみたり。辰巳は夏目友人帳に出てくる妖怪。かわいそうなメフィストが書きたかったのでこんな感じになりましたが。