しあわせってなんだっけ?

□本当のこと
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『ねえ、メフィスト君。君は俺が君を助けた理由をずっと不思議がっていたね。俺はさ、君と出遭ったとき不思議と”助けたい!”って思ったんだよ。今まで誰かをこんなに助けたいなんて思ったことなかった。屠ってきたんだ。ちょっと自分より強くたって構わなかった。一方で人間と友達になったりもしたけど、みんな俺を置いて行っちゃうし。実際、君といると暖かい。君に会って初めて俺は自分がひどく凍えていたんだと知った。憧れるほどの強さ、美学・・・ホントだよ?少なくとも俺はそう感じた。』

『そうそう、話したかったことってのはこれとは別。あのね、どうやら俺は君のことが好きみたいだ。もちろん恋愛的な意味で。ここまで時間がかかっちゃったけど、君の返事が聞きたいな。いつでもいいから・・・』

珍しく瑠璃から届いた手紙にはそう書かれていた。機密文書でもないのに狐文字を使っているところが彼女らしい。返事なんて決まっているのに。


「瑠璃。私も貴女のことが好きですよ。これから迎えに行くから、待っててくださいね☆」

ファンシーな手紙にはやけに丸い字でそう綴られていた。ふと振り返ると、そこにメフィストがいて、後ろから抱きしめられた。・・・本当に君は心臓に悪い。

『・・・びっくりした。』

「それは私のセリフです☆貴女は気まぐれ過ぎる。」

『はは、ごめんて。』

「・・・後戻りはできませんよ?覚悟してくださいね☆」

『上等だ!』



それから三日間メフィストと瑠璃は正十字学園から姿を消した。それ以降瑠璃はメフィストと一緒にいることが多くなった。

『ねえ、メフィスト君。君ってさ、結構情熱的ってか、激しいとこがあるんだね。』

「今更ですか?」

『いや、実感したというか、なんと言うか。』

瑠璃の背には古傷を覆うようにmephistpheresと刻まれていた。それらは主に爪痕と噛み傷で塞がってはいるものの骨まで届いたのではないかと思われる傷だった。

『メフィスト君にカニバリズムと狂愛の気があったなんてなー。』

「それなら貴女も十分に狂ってますよ。」

そう、瑠璃はその痛々しい傷を全く意に介していなかった。精々布状の術で背中を覆い、普通の人には見えぬようにしたくらいだった。

『これが君の答えなら俺は受け止めるのみ。これは悪魔:メフィストフェレスの業のひとつに過ぎない。俺には関係ないさ。』

二人が狂っているのかどうか、その答えを知るものは誰もいない。



あとがき

シリアスとギャグの次はスプラッターな話になっちゃいました。泉花が割と早く離脱したのはこのことを予期していたため、なんて後付けてみたり。まだまだ続きますよ!

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