しあわせってなんだっけ?
□真理
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『なあ、メフィスト。もし人類が皆不死身になっちゃったらどーする?』
「いきなりどうしたんです?」
『いやー、某教育番組で”永遠の命”についてやっててさー。・・・そうなったら怖いなーと思って。だってその人の見なくていいとこ見ちゃうもの。それにさ、道徳だとか法律だとかも皆破綻しちゃうよ。命の価値が死んでしまう。』
「まあ、悪魔の私としてもそれは歓迎しがたい事態ではありますねぇ☆”永遠の命”は人類の悲願ですが、それが叶いがたい夢だからこそ、われわれ悪魔の居場所もあるのだから☆」
『つーか、まあ、普通に生きても後悔だらけなのに不死身になっていったいどうする気なんだろうねェ?それこそ不可逆だよ。なにせ”不死”なんだから。残酷なのは真理でもなければ現実でもない。人間自身とその所業こそ、残酷なのさ。影のようについて来て一生一緒さ。怖いなら悪いことはしないに限る。意識を持つものは皆死ぬまで己からは逃れられない。日は沈み、明日にはまた上る。・・・・・化け物の俺のほうが真理に近いなんて、滑稽な話だよねェ。』
「・・・いい加減、その自分を卑下する癖から卒業したらいかがです?普段は紳士な私ですが、いい加減殴りたくなります☆」
『止めてー、痛いから!君のグーパンチすっごく痛いからね!親指のつめの形がくっきり残っちゃうよ!っと、まあ、俺の癖については一応善処するってことでだな、ぶっちゃけ本題はこれじゃないんだ。俺の研究や不死性についてのデータなんかがヴァチカンにバレてないかってことが聞きたくてね。』
「今のところは問題ないと思いますよ☆というか、あなたは研究をデータ化なんてせず、あわよくば自分の記憶の片隅で消えればいいと思っているんじゃありませんでしたっけ?」
『まあ、聞かれようが聞かれまいが教える気はないけどね。面倒だし。明けない夜が無いなら、沈まない太陽も無いはず。・・・白夜でもあるまいし。さて、こんなもんで良いかな?』
そういって俺は服についていた盗聴器に話しかける。
”どうしても知りたいってんなら直接会って聞いてごらん?まァ、盗み聞きするようなヤツには100年拝み倒されても会ってすらあげないケド。”
ふぅー、と炎の吐息を吹きかければ解けていくガラクタ。よく考えてみればどうでもいい話しかしていないが、この部屋ともおさらばだ。ネット上での密会用のチャットルームのように部屋は消えて、元の理事長室に戻った。
「少々警戒しすぎなのでは?」
『そう?ま、セッティングは俺持ちなんだし、メフィ君はゲストだったんだからいいでしょ?』
「・・・これでも私は忙しいのですが☆」
『んー、しかたない!書類の山片付けるのは手伝ってあげよう。ただしおやつにモンブランを要求する!』
「ハァ、机の上の山が片付いたら、ですよ?」
『分かってるよ・・・んむ?どうやら来客がいるようだな。』
あとがき
毎度安定の感想文然とした夢小説で申し訳ない。それと、早々にコミックスで”晩餐”の話が出たので、思いっきり原作ネタをやっていきます。