番外編

□門出より旅立
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父母会の人達にコサージュの花を着けさせられる

薄いピンクの花は、どう考えても私には合わないんだけど仕方ない

温和しく胸にコサージュを着けられていると

「ケケケ!テメーには似合わねぇな!」
と後ろから声を掛けられ、序でに頭にも何かが乗っかった

「言われなくても自覚してるから。黒い花にしてくれれば良かったのに…」

妖一に頭を肘置きにされた儘、自分の左胸にあるコサージュを見下ろす

「式典に黒はねーだろ」

「なら白」

「生憎だが、俺のはやらねーぞ」

ニヤッと笑った妖一の言葉に、ムッとして彼を見上げる

その胸にある白のコサージュが、学ランの黒と相まって彼に似合っているのが腹立たしい

「どーせ私なんかに花は似合いませんよーだ」

「何拗ねてんだよ」

「拗ねてないもん」

プイッと顔を背けると、はぐらかすなと頭を鷲掴みにされ彼の方へ顔を向かされそうになる

それに必死に抵抗しようと足掻く私と、何とか自分の方へ向かせようとする彼との攻防戦は

「ほらお前ら、遊んでないで体育館行くぞ」
と言うムサシの仲介によって休戦となった

「はぁ…もう卒業か、寂しいな」
と、体育館へ向う途中で栗田が染々と呟く

「式出んのめんどくせーな」
と、気怠そうにガムを膨らませる妖一に

「同感。証書だけ貰えれば十分なんだけど」
と私も賛成すると

「お前らなぁ…」
とムサシに呆れられた

だって、この学校自体に思い入れはない

進学する高校は4人とも一緒なんだから、何も悲しい事はない

そう思ってた…



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