番外編
□其れは猫の様に
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ガチャ…
授業中にも拘らずに鉄扉が開く音がする
「テメーもサボりか」
屋上に寝転がっていたあかねの前に、いきなり輝く金髪が現れた
「サボってない。HR出てないし」
そう言ってあかねは横たえていた躯を起こす
「教室行かねーでこっち来たんか?」
と、そう訊ねながら座っているあかねの近くへ腰を下ろした蛭魔
「そう。担任に捕まると面倒だから…」
ほっといてくれれば良いのにね…と、彼女は空を見上げて鬱々と呟く
「テメーが学校出てこねーからだろ」
ほっとくと直ぐに自主休校に走るあかねに、蛭魔がそう言って軽く咎めれば
「だって、別に学校来る理由無いし」
と、相変らず空を眺めた儘返事を返すあかね
そんな彼女に仕方ないなと溜息を吐いて、彼は持ってきたパソコンを開いた
「…喉渇いたなー…」
と独り言の様に呟くあかねの後頭部目がけ、ポケットから出した財布を投げた蛭魔
「……?」
財布が打つかった所を手で擦りながら、投げて寄越された彼の財布を拾ってあかねは後ろを振り向いた
何?と言いたげな視線を向けるあかねに
「下で買ってこい」
と、パソコン画面から視線を外すことなく告げる蛭魔
「つまり“奢ってやるからパシって来い"と?」
「ケケケ、察しがいいな」
ハァ…と溜息を吐いたあかねはスカートの埃を払いながら立ち上がって
「蛭魔は何飲むの?」
と訊ねた
彼が「ブラック」と短く答えたのを聞くと、あかねは鉄の扉から一階の自動販売機へと姿を消した
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