黒き月からの使者

□思いの先へ
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客席の階段から降りてきたあかねを迎える蛭魔

けどあかねは俯いて、彼と視線を合わせ様としなかった


「ごめん…」



ポツリ…と、囁かれた謝罪

それは一体何に対して罪悪感なのか…



「あかね…」

「写真は撮れたよ。ビデオも撮って貰えたし、進さんのプレーだけは後で雲水からビデオのダビング貰えるから。じゃあ私、マモリさん手伝うよ…」

早口でそれだけ言って蛭魔の横を通り過ぎ様とするあかね

蛭魔はその腕を掴んで引き止めると

「アイツに何か言われたんか?何言われた」
と問い掛ける

「別に…何もないよ」
とあかね

「あれで何もねぇ訳……「阿含が女を押し倒すなんて反射神経の内みたいなものでしょ」

振り返って無表情にそう告げると、あかねは蛭魔の手からスルリと抜け出して皆の居るベンチへ向って行った




「何だよそれ…」



何で、んな眼ェしてんだよ…


覇気の無いあかねの瞳が昔の彼女の眼に似ていて、蛭魔はギリッ…と奥歯を噛み締めた


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