黒き月からの使者

□最弱英雄
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「え…新しいマネージャー?」
と、驚いた様子のあかねに

「うん、姉崎さんがマネージャーとして入ったの。蛭魔から聞いてない?」
と栗田が不思議そうに告げる

「聞いてない…」

ひっそりと呟いたあかねの言葉は、買ったケーキ箱を持って隣を歩く栗田には届かなかった

朝練に来れば大量の袋や箱を抱えた栗田と途中で会い、何故そんなにケーキを買ったのか訊ねたあかねはそこで初めてマモリが新しいマネになった事を知った

一言知らせてくれても良かったのに…とは少し思ったが、蛭魔の言葉が足りないのは何時もの事と理解しているあかねは然程気にも止めず

「栗田はその儘部室行くでしょ?私トレーニングルーム開けて来るから。あ、私の分もケーキ取っておいてね」
と言って、部室の手前の角で別れた


栗田が部室を開けると、今迄手付かずだった部室が綺麗に掃除されていて、既にセナとマモリが来ていた

大量のケーキをテーブルに並べてミニ歓迎会を始めると、後からやってきた蛭魔がケーキ毎テーブルを蹴り上げる

くるんッとひっくり返ったテーブルは小さなフィールドになっていて、其処に自分達を型どった小さな模型を並べていく蛭魔

マモリの抗議すら聞き入れる様子の無かった蛭魔は

「あーぁ、ケーキが…あかねちゃんの分あるかな…」
と、難を逃れたケーキ達をしょんぼりして眺める栗田の言葉に

「そういやあかねはどーした?また寝坊か?」
と、部室に彼女の姿が無い事に気付き携帯を取り出した

「途中迄一緒だったんだけど、トレーニングルーム開けてくるって行っちゃったよ」
と言う栗田に、蛭魔は静かに携帯を仕舞った

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