黒き月からの使者

□先輩主務と準主務
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「おー、集まったか」

「何だ、自分が一番遅れてんじゃねーか」

「蛭魔さん、あの…あかねさんと栗田さんは?」

「あ?糞デブは罰ゲームだ。あかねは…」



指定された待ち合わせ場所、泥門駅前に集まった助っ人部員達。遅めにやってきた蛭魔、けどまだあかねや栗田の姿が見えない。気になったセナが蛭魔に聞いてみると、彼女は別行動をしていて今日の会場で合流すると言うので、罰ゲームの荷物運びをして遅れてきた栗田が到着するとセナ達は直ぐ試合会場へ向ったのだった


電車に乗り会場に着くと、前試合の観戦者がまだ残っているのか、辺りは人で溢れていた

「あかね!」

校庭に設けられた少し高さのある観客席、其処に蛭魔が声を掛けると上方の席に居てビデオを構えていたあかねが下へ降りてきた

「もしかして、この子が超可愛いチアガール!?」

「確かに可愛い!!」

「…?」

いきなり大声を上げてあかねを上から下迄舐める様に眺め始める助っ人部員達に、あかねは怪訝そうに首を傾げ

「チアって?」
と、隣に居る蛭魔に訊ねる

「助っ人集める時、すっげぇ可愛いチアが居るって吹っかけたんだよ」

ガムを脹らませながら興味なさそうに告げる蛭魔

「あの、あかねさん…」

「あ、セナ君おはよう」

怖ず怖ずと話し掛けてきたセナを振り返り、あかねは簡単な挨拶をした

「あかねさん、今日朝早くから主務の仕事してたって蛭魔さんが…」
と、申し訳なさそうに俯きながら話すセナにあかねは

「うん、泥門の試合がある迄は他校の試合もあるし、勝ったチームとは後で当るかも知れないから情報収集してたんだよ」
と答えた

まだトーナメント初戦と言えど、情報はあった方が良いと思ったあかねは昨日の内に蛭魔に自分は別行動をする事を告げていたのだ

「僕も主務なのに何にも知らなくて、今日も普通に来ちゃってさっき蛭魔さんから聞いたんです。手伝えなくてごめんなさい」
と、ペコリと頭を下げるセナ

あかねは一瞬キョトンとしていたが

「そんな、セナ君が謝る必要ないよ。私が昨日勝手に妖一に言った事だし、セナ君には今日の試合から色々仕事して貰おうと思ってたから」
と言ってセナに顔を上げさせるあかね

「セナ君はまだ主務に成り立てなんだし、是から一緒に頑張ろう?仕事で解んない事があったら私が教えるから、何でも聞いてよ」

「…!!は、はい!お願いします!//」

見上げたあかねの顔は少し笑っていて、自分に向けられた柔かい表情に驚いたセナは慌ててお礼を言ってその場から離れた

蛭魔達と居てもあまり表情を変える事の無かったあかね。彼女の笑顔を初めて見たセナは、自分の顔に熱が集まっている事に気付いた

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