黒き月からの使者

□始まりの詩
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泥門高校、合格発表日

緊張した面持ちの中学生達を校舎の陰から眺めてる怪しい2人組が居る

「…!!やった!あった!」

張り出された紙を指差して、歓喜の声を上げる生徒が一名

「合格者発見、行くぞ糞デブ!」

「ま、待ってよ蛭魔〜」

物陰に隠れていた2人は待ってましたとばかりに飛び出して、喜んでる生徒に近寄ると胴上げを始めた

「「合格おめでと、YaーHaーっ!!」」

喜ぶ生徒を数回宙に浮かせ、地面に下ろすと素早く携帯を取り出した

「合格をご両親に報告したまえ」

「え、掛けて良いんですか?」

「もち。」

お礼を述べた中学生が差し出された携帯に番号を打ち込み電話を掛け様とすると、2人組はそれを途中で強奪して何処かへと去っていった…


蛭魔は今さっき手に入れた番号を基に、他の携帯を取出してデリバリーをしている飲食店へと電話を掛けた

電話番号を聞いた店が住所を確認してきて、あっと言う間に名前と住所をゲットしてしまう

この悪魔の所業に慣れてしまった栗田は、住所をメモする蛭魔の隣で苦々しく笑う事しか出来なかった

本当なら、今日は部活勧誘禁止

だから仕方なくユニフォームを着て合格者を胴上げし、巧みな業で住所を手に入れて後でビラを配る事にしたのだ

直接的な勧誘が出来ない分、蛭魔の知恵に頼るしかない。新入部員を確保するには、他の部より早く勧誘をした方が有利

その為に朝早くから準備して居た2人だが、実は後1人、此処に居るべき人物が居たりする

「ねぇ蛭魔、あかねちゃんはまだかな。連絡してから結構経つし、もう来ても良いよね?」

まさか禁止されてる部活勧誘をしてるとは思ってないマネージャーこと黒須あかねの姿はなく、先程蛭魔が召集を掛けたのだ

「アイツならもう来てんだろ。部室で別の仕事させてっからこっちには来ねぇよ」

「別の仕事?」

はて?と首を傾げた栗田に蛭魔は新しい合格者を指差し、2人は急いで校舎の陰から駆けていった

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