番外編
□門出より旅立
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長い長い卒業式がやっと終り教室へ戻る途中、ムサシが白のコサージュをくれたので自分の奴と交換する
教室に着くと全員の机の上に花束が置いてあった
「んなもん要らねー、やる」
と、自分の花束を私に押しつけてくる妖一
「俺のもやる」
とムサシ
私の机だけ3束もの花束が乗ってる状態で担任の話を聞く
これから校庭に出て在校生に見送られて校外へ出るらしい
荷物を全て持って校庭へ向う
「花束邪魔ァー」
「鞄持っててやるから」
ムサシに鞄や証書を持って貰い、何とか靴を履き替えた私の隣
妖一は自分の下駄箱を眺めた儘動きを止めてた
「妖一?」
と、私がそう声を掛けると
「今行く」
と言って、彼は直ぐに靴を履き替えた
「下駄箱がどうかしたの?」
「いや、なんでもねーよ…」
「…?」
言葉を濁す妖一を怪訝に思ったけど、それ以上深く突っ込まれたくなさそうだったので何も聞かずに先に行くムサシ達を追った
校庭では左右を在校生に挟まれた道の間、紙の花で作られたアーチの下を通って校門まで歩く
外に出た後は、卒業生は学校の隣にある公園で屯して最後の別れを惜しむのが麻黄中の伝統らしい
皆それぞれに写真を撮ったりして、泣きながらも笑顔で楽しそうにしてる
お世話になった教師と写真を撮ってる子も居るが、生憎私達と馴染みのある先生はもう居ない
「溝六先生が居たらなぁ…」
と、楽しそうな周りの生徒を見て栗田がしょんぼり呟いた
「一応、最後に顧問に会っとく?」
「うん!」
「ま、一応挨拶くらいしねぇとな」
「顧問つっても肩書きだけだろーが」
面倒臭がる妖一の背を押して、私達が学校に戻ろうとしてたら
「あのッ、蛭魔君!」
と、何処からか女子の声がした
後ろを振り向けば、可愛らしい顔の女子生徒が頬を赤らめて立っている
「あの…て、手紙…読んでくれた?/」
恥じらいながら彼に話し掛けるその子
「知らねー」
と妖一は淡泊に答えた
「え?…あの、私下駄箱に入れ…」
「知らねぇっつってんだろ!」
「!!」
そう怒鳴るように吐き捨てて、妖一は一人で校舎へ歩きだしてしまう
「あ、待ってよ蛭魔ー!」
と栗田が慌てて彼の後を追い掛ける
「…悪いな」
と、呆然としてる女の子に謝るムサシ
ムサシの後に続きながらチラッと後ろを振り向くと、さっきの子は泣き出して周りには友達らしい女子が集まってた
そして、何故か一斉にこっちを向いて私を睨んできた
…何?
喧嘩でも売られてんのかな、買っていいのかなぁ…否、今日はまずいな、妖一との約束もあるし…
と一瞬で色々悩んでいると
「あかね!何してやがる置いてくぞ!」
と妖一に呼ばれてしまったので、睨み飛ばしてくる女子達からは視線を外して先を歩く彼らを追い掛けた
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