黒き月からの使者

□基礎と人海戦術
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そして放課後

「今日からはきっちり組分けして練習します」
と言うマモリの説明の後、初めてきちんと前衛と後衛に分かれての練習が始まった

ライン組は栗田一人に任せ、あかねとマモリはバックス組の手伝いをする

特にあかねは、一人出遅れている雪光を専属的に教える事になった

「パスを取る時は、ボールの方へ先に手を延ばしておくの。それで、上に構えた時は親指を、下に構えた時は小指を付ける…」

説明しながらゆっくりジェスチャーを交えてパスの取り方を教えていくあかね

「じゃあ、私が投げるから取ってみて?」

「はい!」

「行くよー」

合図と共に離れた雪光へパスを放つあかね

セナが入部したての頃もこうして投げたなぁ…と思い出すあかね

あの時、陰から妖一がアドバイスくれたんだっけ…

チラッと横を見れば、きちんとルートを走るセナ達へ鋭いパスを投げる蛭魔

そして、蛭魔にボールを手渡すマモリの姿が…

「…あかねさん?」

「!…ご、ごめん。じゃあ次はパスルートも使って練習しよっか。妖一みたいにコントロール良くないし、弾も鈍くて悪いんだけど…」

「いいえ!お願いします!」

「!…」

覇気のある返事をした雪光に驚くあかね

確かに並より運動神経は良くないけど、雪光には他の誰よりも根性とやる気がある。彼はそれに未来を賭けたのか…とあかねは納得した


「よし、ならセナ達より早くルート覚えて驚かせちゃおう」

「!…はい!」



嬉しそうに頷いた雪光に、あかねも気合いを入れてパスを投げる

取り損ねる事が多いけど、それでも諦めない雪光に向けて何度も何度も…







長い道程だと感じるかもしれない


けれど今は一歩一歩を着実に踏みしめて…





それは必ず力となって



自信となって





フィールドで戦う勇気になるから…







(…糞ハゲ!テメーもこっち来い!あかねも入れて2対2の実践形式でやるぞ!)
(は、はい!)
(コーナーバックやるの初めてだ)


END
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