黒き月からの使者
□基礎と人海戦術
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粗方の測定を終えた皆は一度部室に集まる
「そう言えば、春の地区大会決勝って今日辺りじゃない?」
と言う栗田の言葉に、蛭魔はパソコンを開いた
「神奈川大会が今さっき終った。優勝は…言わなくても解るよな」
「…神龍寺ナーガだね…」
ポツン…と返す栗田の返事に、あかねはキュッと唇を噛み締める
「東京大会は…丁度今やってんな」
「本当!」
「見に行きてぇな」
と言う事で、急遽試合観戦をしに都立栄光グラウンド迄やってきた
「相手どこだ?…西部?」
「え…20-7!?」
突如セナ達に突き付けられた現実
それは、20-7と言う大差であの王城が負けていると言う事だった
「鉄馬丈。40ヤード5秒0、ベンチプレス115s、けどコイツがスゲーのは数字じゃねぇ、決められたルートを走るその的確さだ」
「ルートってなんですか?」
「パスを取る時に走る位置に幾つか種類があんだよ」
そう説明する蛭魔に、あかねは鞄から取り出した各ルートが書かれた紙を手渡した
「テメーらも覚えんだぞ」
と蛭魔は皆に紙を見せながら告げる
「こんなにあるんスか!?」
「覚えきれるかな;」
新入部員達はあかねから配られた走行ルート表を見て、各々心配そうに息を吐いた
「ルートはパス攻撃の基本、決められたルートを完璧に走れる選手が居る…是だけでもかなりの戦力になるんだよ。今の西部みたいに…」
「…」
あかねの言葉に、皆は一斉にフィールドの方を向いた
「ショットガンフォーメーション…完璧にパス重視の作戦だね」
「進一人じゃこのレシーバーの数は防ぎきれねぇからな」
いつの間にか片手にビデオを構えていたあかねの隣、蛭魔も戦況を冷静に見つめている
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