黒き月からの使者

□基礎と人海戦術
2ページ/5ページ



粗方の測定を終えた皆は一度部室に集まる

「そう言えば、春の地区大会決勝って今日辺りじゃない?」
と言う栗田の言葉に、蛭魔はパソコンを開いた

「神奈川大会が今さっき終った。優勝は…言わなくても解るよな」

「…神龍寺ナーガだね…」

ポツン…と返す栗田の返事に、あかねはキュッと唇を噛み締める

「東京大会は…丁度今やってんな」

「本当!」

「見に行きてぇな」

と言う事で、急遽試合観戦をしに都立栄光グラウンド迄やってきた

「相手どこだ?…西部?」

「え…20-7!?」

突如セナ達に突き付けられた現実

それは、20-7と言う大差であの王城が負けていると言う事だった

「鉄馬丈。40ヤード5秒0、ベンチプレス115s、けどコイツがスゲーのは数字じゃねぇ、決められたルートを走るその的確さだ」

「ルートってなんですか?」

「パスを取る時に走る位置に幾つか種類があんだよ」

そう説明する蛭魔に、あかねは鞄から取り出した各ルートが書かれた紙を手渡した

「テメーらも覚えんだぞ」
と蛭魔は皆に紙を見せながら告げる

「こんなにあるんスか!?」

「覚えきれるかな;」

新入部員達はあかねから配られた走行ルート表を見て、各々心配そうに息を吐いた

「ルートはパス攻撃の基本、決められたルートを完璧に走れる選手が居る…是だけでもかなりの戦力になるんだよ。今の西部みたいに…」

「…」

あかねの言葉に、皆は一斉にフィールドの方を向いた

「ショットガンフォーメーション…完璧にパス重視の作戦だね」

「進一人じゃこのレシーバーの数は防ぎきれねぇからな」

いつの間にか片手にビデオを構えていたあかねの隣、蛭魔も戦況を冷静に見つめている


.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ