短編小説

□甘い夢
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「ねぇ、どんな夢見てたの??」
「……」
「だ〜っていっつも甘えてくんない新八っつぁんが!
『へーすけ』って呼んで!恥ずかしそうに笑ったんだよ!?」




気になるじゃん、と拗ねたような顔で新八を見て。



「変態」


と一言、新八に言われてもまったく気にせずに。




もう逃げ場はない、と目で言われたような気がして、
新八は観念したように、はぁ、とため息をひとつ漏らした。






「あー、幸せ逃げちゃうよ〜?」
「…別にいいケド」
「えー?」





不満の声を上げながらも、
平助の顔には嬉しさがいっぱいに表れている。

それがさらに、新八に悔しい思いをさせた。





「ハイ、どんな夢?」
「…多分、同じ」




すごく小さな声で、やっと平助に聞こえるくらいの声で。





「…同じ?」
「オレ、起きてたケド…平助が髪なでて、微笑ってて…ッ」




だんだん顔が下がっていって、新八の赤い顔は平助には見えなかったが
雰囲気で感じ取り、クスクスと笑って新八の髪を梳いてやった。







「ねぇ、ぱっつぁん?夢ってさ、その人の願望映し出すって言うよね」
「なッ…!?知らない!!」
「うれしいなぁ〜♪新八っつぁんがそんなことを願ってくれてたなんて…
まぁ、オレはいつでも抱きしめてたいくらいなんだけど」





新八の言葉は完全無視。
平助から発せられた言葉は、新八の顔を更に赤く染めた。

恥ずかしすぎて、もう新八には何もいえなかった。






「ね、ぱっつぁん?…抱きしめてもいい?」
「……ヤだ」
「えぇッ!?うそ!!」
「うそ」



大きな声を出した平助に、新八がそのままの返事を返してやると、
平助は先程よりも気の抜けた声を出した。




「…へ、いいの?」
「いい…ョ、別に……」




そうは言いながらも、顔は赤いまま。
平助の中に、余計に新八への愛しさが込み上げてくる。





「〜〜ッぱっつぁん!!」
「…ぅわッ!?」




叫んでから間も与えず、
平助は勢いよく新八に抱きついた。

そのため、そのまま二人とも後ろに倒れ込んでしまった。




「〜〜ッあのな!勢いつけすぎ…!!」
「新八っつぁん温か〜い!」
「…聞けよ…」



新八は、下敷きにされている状態からは何とか抜けられたが
それでも平助は寝転がったまま、新八を強く抱きしめたままで
満足気に新八の髪の中に顔を埋めた。

新八も諦めてか、平助の胸に耳を当て、心音を聞く。
何故か最近、この音を聞くと落ち着くようになってしまった。





「…へーすけ」
「んー?」
「眠くなりそうなんだけど…」
「…寝てもいいよ?ベット行く?」
「んー…ココでいい」




そう言って、平助の背中に腕をまわして目を閉じた。
普段は自分からは絶対にしない行動。

先程まで眠っていたせいで、まだ微かに寝ぼけているんだろうか。
それとも、今日は素直になれる日なのだろうか。


どちらにしても、平助にとっては嬉しい状況に変わりはなかった。





「ぇ、ココって…ココ?」
「うん…。ダメ?」
「…ううん。ダメじゃない。」




そう言って優しく抱きしめ返して
微笑って、新八の髪を梳いてやる。





「…平助」
「ん…?」
「…好き、だからね?」
「……え!?」



普段あまり新八からは聞けない言葉を聞いて、
平助は目を見開く。

顔は見えないが、
耳まで染まっているせいで顔が赤くなっていることを知る。


さっきの言葉は、どうやら聞き間違いではないらしい。






「…オレも好きだよ、新八っつぁん」



優しい声で呟いて、平助も目を閉じる。





今日は何だか、楽しい夢が見れそう。
できれば…そう。


新八っつぁんの夢がいいな。















++アトガキ++

とにかく甘いのが書きたかったんですスミマセン…。
自分で書いててかなり恥ずかしかった…(笑)





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