頂き物・捧げ物

□嫉妬という愛情表現
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話さないで
笑わないで

オレ以外の人に


堪えられない
見ていたくない

お前が誰かといるところなんて


お願いだから

オレの方だけを見て











嫉妬という愛情表現















「新八っつぁん」
「うん?」
「どうかした?」
「…何が」
「さっきから暗い顔してる」



暗い顔?
誰のせいで。

何でこんな顔してるのかなんてわからないくせに
わからないくせに、理由を聞いたりなんかしないで。



「別に、どうもしないよ」
「嘘。ぱっつぁん、目見て話してよ」



少し脹れた顔をして
平助はオレの顔を覗き込む。


誰のせいで。

オレだって、こんな態度取りたくない。
お前を困らせたいわけじゃない。




「新八っつぁん?」
「…るさい」
「え?」
「うるさい!誰のせいで、こんな…」



平助の表情が、
一気に驚きへと変わる。

当たり前だ。
オレの機嫌が悪い理由さえわからないのに。

それが自分のせいだと言われても、
平助には驚くことしか出来ないだろう。

オレだって…



「オレだってわかんない…!」
「新八?」



最悪だ。

こんな態度取るなんて
こんなことを言うなんて。

平助だってきっと呆れてる。




「平助の…平助のせいで、オレ変なりそう…ッ」
「え……」



ひどいことを言ってる
そんなことはわかってる。

でも止まらない。
止めたくても、自分でさえ止められない。


イライラする。
わけがわからない。
胸が苦しい。




「ぱっつぁん、どういう意味?」
「…オレ、次授業休むから」



最悪だ。

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