短編小説
□キミへの気持ち
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意味はない。
意味は、ないんだ。
突然、あの人に会いたくなった。
ただ、それだけ。
それだけなのに、抑えきれない感情。
その気持ちだけが、今のオレを動かしている。
キミへの気持ち
「ぱーっつぁん♪」
愛しい人の家に着くなりドアを開ければ、そこには驚いた顔。
「へ…平助…!?いきなり何…!」
「会いたかったぁ〜〜!!」
精一杯の感情を込めて抱きしめると、
ソレはすっぽりと包まれてしまう程の大きさで。
いきなり家に来たのが悪かったのか、抱きついたのが悪かったのか。
それとも言葉を遮ったのが悪いのかはオレにはわからないけど、
腕の中で小さな抵抗を感じた。
「んー?」
「“んー?”じゃない!人の話は最後まで聞け!!
ってか、いきなり抱きつくなっていうか…。そもそもなんでうちにいんのよ!?」
「…ぁ、全部正解。」
「ハァ?」
「や、こっちの話。」
抵抗をされても、当然放したりはしない。
ぱっつぁんもそれがわかっているのか、抵抗するのも最初だけで。
今はおとなしく腕の中で髪を梳かれている。
「…まァ、理由は簡単なんだけどね。聞きたいっ?」
「…やっぱ聞かない。」
「ぅわ…そこは敢えて聞いとこうよ…。」
怪訝そうに見上げてくるぱっつぁんはこの際無視させてもらって。
オレは相変わらず柔らかそうな唇に、自分のソレをそっと重ねた。
「――ッ!?///」
ぱっつぁんが顔を真っ赤にさせたのが見えて、
余計羞恥心を煽るとわかってて唇をなめる。
「へー…ッ」
「会いたかった、から」
「ぇ…?」
すっかり抵抗をしなくなった体を、もっとキツく抱きしめた。
「ぱっつぁんに、会いたかったんだ。すごく」
「なッ…///」
今度は、長いキスを与える。
深く、深く。
「んっ!へ…ぃ…ッ」
苦しそうに服を掴んでくるけど、放す気は毛頭ない。
離れようとする新八とは逆に
平助は新八の舌を絡めとり、口内を侵していく。
「ん…ふ、ぅっ…///」
息が続かなくなってきて、酸素を求めて頭を離そうとしてくるが、
離れようとする頭を右手で押さえつけ、離れられないようにする。
苦しさからか涙が頬を伝うのが見えて、そっと離れて涙を拭う。
「はっ……平、助…」
その声でようやく、自分のした事の重大さに気付く。
「…ぁ、ごめっ…!」
「っ…ばか…///」
とりあえず、“イヤ”ではなさそうに見えることに感謝。
「ぱっつぁん…、キス初めて?」
「…へ?前から平助キスしてきてるでしょ…?///」
「あー…じゃなくて。深いの?」
「〜〜っ!?///」
そう言えば、ぱっつぁんの顔は真っ赤に染めあがった。
今までにないくらいに。
「ぱ〜っつぁん?」
「…普通…のも平助がはじめてなのに、
どうしてソレが初めてじゃないってのョ…///」
思ったよりもかわいい返事が返ってきて、
自然と笑みがこぼれてしまう。