白薔薇
□未来
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ある日の昼下がり。道場で新人隊士たちに稽古をつけていた斎藤のもとに、ふらりと沖田がやって来た
「ねぇはじめくん、今から勝負しない?」
突然の申し込みに少しの疑念を感じながらも、斎藤はその申し出を受けた
「でも、ただ勝負するだけじゃつまんないし……そうだ!負けた方が勝った方の言う事をきくのはどう?面白そうじゃない?」
沖田の申し出にますます強まる不信感を拭えなかったが、一度受けた事を断るわけにもいかず、斎藤はしぶしぶながらも沖田と勝負をすることにした
「審判は左之さんね!じゃあ、始めようか」
テキパキと進める沖田につられ斎藤も支度をする
そして、原田の声により二人の試合が始まった
初めは斎藤が優勢かと思われたが時間が立つに連れ沖田が斎藤を追い詰めるようになった
そしてついに、
「そこまで!勝負沖田‼」
原田の声が勝負の勝敗を告げ、試合は終わった
沖田と斎藤は井戸へ向かい、かいた汗を拭いながら他愛もない話をしていた
「あ、そういえばはじめくん。ちゃんと覚えてる?負けた方が勝った方の言う事きく、ってやつ!」
「……あぁ、覚えている。勝負は総司の勝ちだな。俺がお前の言う事を聞かねばならんのだろう?」
斎藤は呆れたような心底嫌そうな声と顔で沖田を見やった
「そうそう。実はもう決めてあるんだ〜!はじめくんに聞いてもらう命令」
そんな斎藤とは反対に沖田はとても楽しそうであった
「はじめくんは〜、今日一日土方さんに触っちゃいけません!僕からの命令ね!」
「な⁈」
斎藤の敬愛する土方に触れられない。それは密かに恋仲となっている相手に触れられないということ。そんなこと一日たりとて嫌に決まっている。しかし、一度交した約束は守らなければならない
「………わかった。」
斎藤はなるべく平静を装い沖田に返事を返した。沖田は斎藤に見えぬようニヤリと口を歪めた