書斎

□実習 其の一
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「全員揃ったか?」


裏々山に集合してからも土井先生の説明は続く。
が、潤はそれどころではない。




「なぁ、八左エ門。敵にしたら大変な組っている?」

「…皆強いからなぁ。でもとくにやっかいなのは…」


八左エ門のやっかいな組のほうに目を向けた。

そこにいたのは同じ顔。
五年ろ組の名物コンビ。


「雷蔵と三郎…か。」

八左エ門いわく、雷蔵が迷わなければ敵なしだそうだ。
三郎はもともと武術が得意。さらに変装がある。

確実にやっかいな敵だ。

「僕…やっぱり不安だな。」

「大丈夫だよ!たぶん!!」

たぶん大丈夫だそうだ。
八左エ門の笑顔に後押しされて潤はスタート地点に立った。










「それではよ―い…」

どん!のかけ声と同時に皆散り散りになった。












「潤!こっちだ!」

護衛のはずが道に迷い八左エ門に先導されていた。
…まだ誰とも会っていない。


「!」

潤はとっさに振り返った。
うしろから見られているような気がしたが、何もない。

いや、そんなはずない。


「八左エ門…下がって…」

小声で八左エ門に言うと、彼も状況を理解したようで。

「なにかいる…」

二三歩下がって身構えた。

「潤、なにか投げて。」

「え…?」

確かにどこに隠れているかはだいたい検討がついていた。
だが…

「当たる…はずないっ!」

ともかくやけくそで懐の小刀を投げてみた。
小刀は弧を描き…

「うわっ!」

隠れていた相手の足元の地面に刺さり、飛び出したひょうしに姿がはっきりとわかった。


彼等は…
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