□やってられない
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にこにこ、と楽しそうに笑っているコウスケ。
口角を皮肉気に持ち上げて笑うバン。
「…………」
が、今目の前に立っている。
「………で、なにがどうしたって?」
ジンは努めて冷静に尋ねた。場所はシーカー本部だ。既に全員が揃っていて、みんなの前に立つ拓也の隣に件の二人が並んでいる。
「つまりだな、バンとコウスケの精神が入れ替わってしまったらしい」
「どうすんのよ、それって大問題でしょうが!?」
アミが声を荒げた。
「なんでバンとこいつが入れ替わっちゃったのよ!」
「いや、原因は未だよくわからん」
拓也はそう言った後に少し間を置いた。
「…………それじゃぁ、今日行うことだが…」
「間を置けばなんでも良くなると思うなよ!?」
カズがイライラと頭を掻き毟る。
「なんで今日やることの話ししてんだよ、違うだろ!」
「そうよ、しっかりしてよ、社長なんでしょ!?」
「みんな落ち着いて!」
リナが前へ出て来る。アミが思わず口を閉じた。
「彼にも彼の考えがあるのよ」
リナの言葉に重々しく拓也は頷く。不審気な視線で仙道が聞いた。
「………考えって?」
「あぁ。つまり二人は入れ替わっていると勘違いしてお互いのフリをしているだけで実は入れ替わっていないと言う良い話しオチにする予定だ」
「予定かよ!!」
郷田が怒鳴った。
「よく考えてみて。お互いのふりが出来るってことはそれだけお互いのことを知っているってことよ」
「良かったな。コウバンだぞ」
「もうヤダ、こんな大人!!」
アミは早々に目の前の二人に見切りを付ける。
「………つーか、聞いたことあるぞ、その話…」
「しかも、全然解決になってない…」
うんざりとした様子でカズとジンが呟く。

「ねぇ、ねぇ!」

そんな中、場違いな程明るい声が上がった。
「そんなことよりさ、LBXバトルしようぜ!!」
眼帯をした金髪の少年が楽しそうににっこりと笑う。アミとカズが戦慄した。コウスケが明るく笑っている、なんて、
(うわ、正直無理!無理無理無理!中身がバンだってわかってても無理!)
(正直今になってお前が言うか、お前がって感じだぜ)
見た目が違うだけでここまでの破壊力を持てるなんて知らなかった。
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