企画物

□世界を終わらせたかったのは誰か
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「レックス!!」


言うが早いかバンは飛び出していた。今にも堕ちて行くサターンの入口にいるレックスの胸に飛び込んで、ぎゅうっとその首に腕を回す。
「……バン、お前…」
「諦めないって、言っただろ」
エクリプスがどんどん遠くなって行く。背後でそれを見ながら、俺が堕ちているからか。と他人事のようにバンは思った。
「………正真正銘のバカだよ、お前は」
「だって、このままじゃレックスが寂しいままじゃないか」
死ぬのは恐い。バンにはまだ未来があるのだ。しかし、それ以上にレックスを一人残して助かるなんて嫌だった。
「バン君!」
ごうごうと風の音がする中大きな声でバンは振り向いた。連絡通路の奥にジンの姿がある。大切な戦友と離れ離れになるのが辛くて涙が滲むのを理解しながら、バンは聞こえないとわかっていて小さな声で呟く。せめて自分だけでも後悔していないことを伝えたくて口元が微笑みを作った。
「ごめんな……」
もうジンの姿は見えない。レックスが守るようにバンの背中に腕を回した。
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