□君は渡さない
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「知らないよ、そんなこと!あたしはヒロよりも先にLBX始めてて、ずっと前から憧れてたんだよ!?ちょっとくらい話しさせてよ!」
「ちょっと!?僕が少しも話してないのに、ちょっと!?」
「ちょっと!だってヒロはあたしより先に会ってるんだから!」
「先にって言ってもほんの一日、二日でしょ!?もうその分は取り戻したはずです!」
いい加減にして欲しいものだ。今までヒロに与えられていたバンの時間は全てがランが奪ってしまった。しかもランはそれでも足りないと(ヒロからすれば)理解できない駄々をこねるばかりだ。
どこまで強欲になれば気が済むんだとヒロは更に力を込めてランを睨む。今度はランも睨み返して来た。
「じゃぁこう言えば満足?…邪魔しないでって」
「………とにかく、バンさんが帰って来たら、今度はペルセウスを見てもらいますから」
「はぁ?」
「もう十二分に見てもらったはずです。なら次は僕が見てもらうべきです。僕はランさんより遅くLBXを始めた初心者なので、わからないことがたくさんあるんですよ」
ばんっ!と二人が挟んでいるテーブルが音を立てて揺れた。テーブルの上のミネルバがころんと倒れる。ランが手を大きく開いてテーブルに叩き付けたのだ。
「…………どうあっても邪魔するつもりね……?」
「…………どうあっても邪魔して見せます」
睨み合っていた二人は唐突に笑った。
「今更譲るつもりはないのね?」
「譲るなんて、面白い冗談ですね」
「あは、君ってホントに邪魔」
「はは、邪魔はどっちですか」
ランはすっと立ち上がった。
「ここでのしても良いんだけど?」
「あぁ!そんな暴力的な発想しかできないような人にはなりたくないなぁ!」
本格的に二人が掴み合おうとしたときに扉が開いた。
「ただいま。ラン、ミネルバの調整…」
「バンさん!ミネルバはもう大丈夫そうだから次はペルセウス見て下さい!」
「え?」
「あ、ちょっと!」
「まだ僕って未熟だからわからないことたくさんあって。戦い方を教えてもらおうとしたんですけど、ランさんってば攻めろしか言わないし、やっぱりバンさんじゃないとダメなんです!」
「ちょっとそれあたしに失礼でしょうが!大体そんなこと聞かれなかったし!」
「うるさいですよ、ランさん!だからバンさん、僕のペルセウスも一緒に見てくれますよね。この前駆動系をちょっとカスタムして見たんです!」
「本当に!見せてくれる?」
「もちろんです!」
「あたしのミネルバはぁ?」
「もちろん、それも見るよ。動きが鈍いのはこれからのことを考えるとすぐに確認しなくちゃ」
「で、でも!僕、正直まだカスタムに自信ないから上手く戦えるかもわかんないし」
「そうだね」
「あ、あたしの方が先に頼んだでしょ!?」
「あ、あぁ、そうだね」
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