企画物

□世界を終わらせたかったのは誰か
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レックスは肩に掛けていたバッグのファスナーを開いた。
「エルシオンは返してもらう」
「返してもらうって、あんたのじゃないでしょ!」
「俺のだよ、俺のために作られた」
ランの声にレックスは笑う。振り向いて、不明瞭な視界で射抜くのは海道ジンだけだ。

「なぁ、ジン?」

フードを取り払えば、ジンが目を見開く。灰原ユウヤが思わず一歩下がった。
「…………き…、みは…」
「久しぶり、ジン。会えて嬉しいよ。エルシオンさ、父さんが俺のために作ってくれたんだろ。それなのに今までジンに使わせて悪かったよ。使い難かったろ?ジンにエルシオンは向いてないもんな。返してくれって言うか、届けてくれてありがとう」
「…………バン君」
「違うよ、ジン」
ジンがよろよろとレックスに近付いた。恐る恐ると手を伸ばすと、それをレックスは握った。
「見ろよ、この手。この顔。もう誰かなんてわからない」
「……僕はわかった」
「でも、こんなんで母さんやアミには会いたくない。俺が嫌なだけ。ごめん」
「謝らないでくれ!」
「ジン」
「僕は……。僕が、君がいない一年、どうやって過ごしたか君は知らないだろう!君が生きているなら、僕はそれだけでいいんだ………!」
「優しいよな、ジンは」
レックス――バンはDr.マミーの傍に寄った。
「俺は世界を変えるよ、ジン」
「……バン君」
「わかってる。でも、この一年で世界は変わった?別に俺達は争いがなくなれとかみんなに平和をとか、そんな神様みたいなことは考えてない!」
「そう…。争いを意図的に起こしていることが、気に入らないだけだ」
「…………あなたは…、レックスか」
ジンの言葉にDr.マミーは笑った。
「久しいな。これだけ変われば気付かなかったか?」
「どうして…、どうしてだ!どうしてバン君がそこに……」
「あの時から全ては決まっていたんだよ、ジン」
バンが一歩前へ出る。
「さぁ、戦いを始めようか」
バンはDキューブを取り出した。
「オーディーン、アキレスD、エルシオン!」
現れた三機を見て、ジンがショックを受けた顔をした。
「………アキレス」
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