企画物

□世界を終わらせたかったのは誰か
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愚かな子供だ。と六人を見ながらDr.マミーは思う。名前は全て確認していた。カメラ越しに名前と顔を一致させていく。青い髪の少年は大空ヒロ。赤い髪の少女は花咲ラン。金髪の娘はジェシカ・カイオス。片目の子供は灰原ユウヤ。囚人服を着ているのは風摩キリト。そして黒白の髪を持った少年は、
「海道ジン」
背後で声がしてDr.マミーは振り向く。レックスがそこに立っていた。
「捕まえちゃったのか?」
「わざわざこんな敵地に侵入して来たんだ。捕まえないわけがない」
「うん。アラン・ウォーゼンが来る前に行こうか」
そう言うとレックスはDr.マミーの車椅子を押した。


扉が開いて捕まっていた全員がそちらを見た。キリトが顔を歪める。
「……Dr.マミー…!」
「ドクター…?」
ヒロがじっと警戒しながら包帯で覆われた男を見る。男の後ろにも誰かいた。
モンスターの顔が描かれたフードを被った少年だ。フードが大きいため口元しか現れていない。サイズが合っていないのかパーカーはだぼだぼとしていた。首や手に包帯が巻かれていて、もしかしたら男と同じように全身に包帯が巻かれているのかもしれないとヒロは意味もなく推測する。
「………レックス…?」
ジンがぎょっとしていた。彼が表情を崩すなんて珍しい、これはただ事ではないなとユウヤが二人を睨む。
「それで、なにか言い訳がある?」
後ろの少年が口を開いた。その言葉が誰に向けられたかなんて考える暇もなくキリトが口を開いた。
「どういう意味だ」
「どういう?よく言うよ。戦えればいいなんて言う危険因子ではあったけど、まさか本当に反逆者だなんて」
「理由ならある。レックス、あんたが戦ってくれなかったからだ。敵になれば戦ってくれるだろう?」
「………一理あるな」
「Dr.マミー、茶化さないで」
キリトの言葉にうんうんと頷いたDr.マミーを睨んで、次にレックスはサイドテーブルを見た。
そこには取り上げたCCMとLBXがある。その中にあるLBXの一つに目を付けて笑う。何気なく六人の横を通り過ぎるとランが身構えたのがわかった。ジンはレックスの背中の文字を見て動けないようだ。
「エルシオン」
白いLBXを手に取ってレックスは笑った。
「さ、触らないで下さい!それはジンさんのものです!」
ヒロが咄嗟に口を開いていたが、レックスは振り向きもしなかった。
「…………どういうことだ」
ジンの低い声が静寂に落とされた。
「レックスはもういない」
そう、あの日、ジンを闇から救い出してくれた少年と共に、
「お前は誰だ。亡霊とでも言うつもりか」
「………亡霊か。いいな、それ」
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