小説(豪吹)
□あの頃と全然変わってない君
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「……―だーれだ?」
河川敷のベンチで休んでいる俺の両目を冷たい手で被せられた
その声はとてもとても聞き覚えのある声で、10年前から俺がずっと愛している人の声――――…
豪「24にもなって目隠しか?吹雪」
吹「えへ♪豪炎寺くんを見つけたから、つい」
吹雪はそう言って10年前と全然変わらない笑顔を俺に向け、ベンチに座る
吹「はいコレ、聖帝クビ祝い」
そう言って渡されたのは近くの自販機で買われたと思われる缶コーヒー
豪「その言い方はコーチ解任した嫌がらせか?」
吹「どうだと思う?」
豪「…言うけどあれは―…」
吹「大丈夫、豪炎寺くんがした事じゃ無いんでしょ?わかってるよ」
豪「…ならいいが……」
吹「それより僕は僕に何も言わずに聖帝になった事を謝ってほしいんだけど?」
豪「…すまない」
吹「全く…君と全然連絡取れないから心配したんだよ!そしたら髪の毛下ろしてメッシュ入れちゃって!」
豪「……お前を巻き込みたくなかったんだ…」
俺が少しうつ向いてそう言うと、吹雪はクスッと笑い「いいよ。許す」と言ってくれた。
吹「豪炎寺くんの事だもん。そんな事だろうと思った」
豪「吹雪――……」
吹「君に巻き込まれるなら歓迎するよ。そんな事連絡取れないよりか全然良い」
豪「…ありがとう。でもお前まで憎まれ役になる事は無いからな。それに白恋にはお前が必要だ」
吹「白恋は僕の母校だから皆が慕ってくれるんだよ」
豪「そうかもな…白咲達は元気か?」
吹「うん。今はシードとか無かったみたいに皆元気で仲良くしてる」
豪「そうか…」
話の一区切りがつき、吹雪から貰った缶コーヒーを飲んでいると足元にボールが転がってきた
子供「すみませーん!ボール取ってくださーい!」
豪「あぁ!」
吹「お腹にシュートしちゃ駄目だよー豪炎寺くん♪」
豪「…お前何気に根に持つタイプか」
吹「冗談だってー。ほら、早く返してあげなよ
豪「はいはい。」
俺は軽くボールを蹴って少年に渡すと少年は「ありがとう!」と言ってサッカーの練習に戻った
吹「あのチームって、確か半田くんが監督してるんだよね?」
豪「あぁ。半田も頑張ってるらしいぞ」
吹「皆サッカーに関わってるなんて、やっぱりサッカーって凄いな」
豪「そうだな」
吹「僕達もサッカーで知り合った仲だしね」
豪「サッカーに感謝しなくちゃな」
吹雪は「そうだね」と笑いながらベンチから立ち上がる
吹「じゃあ、僕そろそろ帰るね」
豪「北海道か?」
吹「ううん。今日はホテルに泊まるつもり」
豪「…じゃあ家に泊まっていけ」
吹「え?でも一人暮らしだし迷惑じゃないの?」
豪「そんな事は無い。むしろ結婚しているみたいで良いじゃないか」
吹「っけ――…っ/////」
吹雪は俺の言葉に顔を赤くすると、恥ずかしそうにうつ向いた
豪「ほら、行くぞ」
吹「ま!待ってよ!/////」
俺達は河川敷の階段を登り道へと出た
吹「…豪炎寺くん」
豪「なんだ?」
吹「ありがとね…サッカーを守ってくれて」
豪「…あぁ」
吹「お疲れさま!」
豪「…お疲れ!」
『あの頃と全然変わってない君』
半(…本当…イチャつくなら他所でやれよ…)
真(半田さん落ち着いて…!)