小説(豪吹)
□アイスロード
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──ぶき……吹雪…
僕の名前を呼ぶ声がした
その声でゆっくりと瞳を開けると、そこは氷の世界ではなくて見覚えのある世界…
…いつもの僕の部屋だ
ベットの傍には声の主である愛しい恋人の姿があった
吹 「…ん…豪…炎寺…くん…」
豪 「おはよう。お前にしては珍しいな寝坊なんて」
時計を見るともう11時を回っていた
吹 「わ…本当だ…練習無くて良かったよ」
…─
右手が温かい……?
吹 「…ねぇ豪炎寺くん…」
豪 「何だ?」
吹 「もしかして手握っててくれた?」
豪 「…何かうなされてたみたいだったからな。怖い夢でも見てたのか?」
…そっか…
あの氷の世界で僕の傍にいてくれたのは豪炎寺くんだったんだ…
吹 「最初は…ね」
豪 「最初?」
吹 「豪炎寺くん」
豪 「ん?」
吹 「ありがとう」
豪 「どうした?急に」
吹 「何でもないよ」
君が氷の世界でも僕の傍にいて手を握ってくれていた
僕に笑顔をくれた
いつもと同じ笑顔で僕の傍にいてくれる大切な存在…
そのお陰で僕はここで生きている
吹雪士郎として…生きていられる
だから信じていたいんだ
ずっと僕の傍にいてくれるって…
君はとても強い
その強さに僕は支えられて…助けられて…
その強さで僕を励ましてくれた
そのお陰で僕はここまで来る事が出来た
一緒に…生きてこれたんだ…
豪 「どうしたんだ?そんなに呆けた顔して」
吹 「何でもないよ」
僕が笑顔でそう答えると豪炎寺くんは「そうか」って言って窓の方に行ってカーテンを開けた
豪 「ほら吹雪、外を見てみろよ」
吹 「外?」
豪炎寺くんに言われて外を見ると、そこは辺り一面に真っ白な世界が広がっていた
吹 「…わぁ…雪だぁ…」
豪 「北海道ほどじゃないだろうが結構積もったんじゃないか?」
吹 「うん。何だか懐かしくなるよ」
豪 「そうか」
吹 「ねぇ豪炎寺くん、後で外に行かない?」
豪 「いいけど…昼食べてからな」
吹 「そのつもり」
─