小説(風吹長編)

□出会い
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俺があいつに出会ったのは辺り一面真っ白な雪の中




雷門のエースストライカーがチームから抜けて俺達は新しいエースストライカーを探しに北海道まで来ていた



何故かというと響監督からメールで「北海道の白恋中のエースストライカー吹雪士郎をチームに入れろ」と言われたからである



調べてみると熊殺しだのブリザードなどと異名を持った奴だった



写真がなかったため顔はわからず



円堂や皆がどんな奴かなとドキドキしている中、急にバスが止まった



運転手の古株さんに聞くと…




「人が…」




という答えが返ってきた




外を見てみると真っ白な雪の中、ポツンと1人で立って寒さに凍える少年がいた





円堂の誘いでキャラバンに乗った彼は毛布にくるまって体を暖めている




「まだ寒いか?」


「ううん、もう大丈夫だよ」





と、笑顔で答えている





その笑顔はとても可愛らしくって、まるで女の子のような笑顔だった




「坊主、どこまで行くんだ?」





古株さんがそう言うとその少年は




「蹴り上げられたボールみたいに…ひたすら真っ直ぐに…」





俺はその意味がよくわからなかった



しかし円堂はその言葉が気に入ったようで「いいな!その言葉!」と感動していた



その少年もサッカーをやるらしくて円堂と意気統合していた






…そんな時




急に少年はハッとした顔を見せた




「気をつけて…山親父がくるよ…」






山親父…




それは雪の中に急に現れる熊の事だった




熊にバスを動かされて俺達が慌てているといつの間にか少年は席にいなかった



皆が不信に思っていると熊は急に倒れてその少年はまた戻ってきた





「これでもう大丈夫ですよ」



と、また可愛らしい笑顔で言う





「…まさか…」


「そのまさか…だよな?」






そう



この小柄で非力そうな少年が熊を倒した…と考えられる




この事には皆が驚いていたようだ







暫くして少年はバスを降りた



そこは雪が沢山積もっていて家などは全然見当たらないが少年は




「この近くなんで」




と言っている




俺は少し不信に思いながらもその少年を後にした








そして俺達は伝説のストライカーのいる白恋中へと向かう…











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