小説(その他)
□不釣り合い?
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鬼 「──豪炎寺!」
豪 「おう!」
いつも通りの部活動…
エイリア学園の事件から約2週間
何にもなかったかのように練習をする皆…
俺も皆のおかげでエイリア石の力にのみ込まれずにすんだ
もうサッカーも楽しく出来るし何1つ悩みがない。
…なんて…嘘
悩み…
最近…豪炎寺と全然一緒になれない気がする
エイリア学園が終わってから豪炎寺はまた皆からの尊敬の的となってしまった
もちろんそれは喜ばしいことなのだろうけど俺にとっては複雑な気持ちでしかない
豪炎寺があんなに凄くなっちゃうと…また追いてかれた気がしてならないんだ…
だってそうだろ?
俺は速さしか取り柄なんて無いのに、あんなに皆から尊敬されている豪炎寺と恋人なんて…
夢…みたいなんだから…
豪 「─風丸」
風 「ぅわっ!」
いきなり後ろから声をかけられたから驚いて声を出してしまった
声をかけてきたのは俺の悩みの種であり恋人である豪炎寺修也だ
豪 「どうしたんだ?そんな驚いて…」
風 「いや…何でもない。どうした?」
豪 「いや。何か呆けてたから…大丈夫か?」
風 「…あぁ…」
悩みの本人に言われてもこう返すしかない
それに察したのか豪炎寺は俺の腕を掴んで「ちょっと来い」と腕を引っ張りどこかに連れていく
風 「ちょ!豪炎寺!?」
連れてこられた場所は部室だった
今は練習時間で部室には誰もいない
風 「…どうしたんだ?こんな所に連れてきて…」
豪 「…風丸…(ズイッ)」
風 「──!!!?/////」
豪炎寺は俺に顔を近づけてきた
急に近づかれたから反射的に顔が赤くなる…
風 「へ…?何…だよ?//」
豪 「最近…元気無いだろ…何かあったのか…?」
風 「……///」
豪 「…俺にも言えない事か…?」
そりゃ本人だもんな…
豪 「風丸…」
豪炎寺はジッ…と俺の目を見る
豪炎寺のこんな目を見てしまったら言うしか無いだろ…
風 「…最近…皆から尊敬されてばかりじゃん…」
豪 「…誰が?」
風 「お前が…だよ」
豪 「そうか?」
風 「そうだよ…」
豪 「でも風丸も尊敬されてないわけじゃないだろ?だから別に気にしなくても…」
風 「別に俺が尊敬されたいわけじゃない…」
豪 「?じゃあ何が…」
…疎い…
風 「お前との差がまた広がった気がするんだよ…!」
俺は少しカッとなってつい怒鳴ってしまった
でも豪炎寺は怒りもせずにゆっくりと俺の話を聞いてくれている…
風 「…ごめん…」
豪 「ちゃんと話せ…」
風 「…俺は豪炎寺と恋人同士になれて凄く嬉しかった…でも…やっぱりお前は凄く高い存在で…お前に追いていかれる気がしてならないんだ……俺とお前じゃ不釣り合い…だろ…」
豪 「風丸…」
風 「急にこんな事言ってゴメン…でも…──」
豪 「そんな事で悩んでたのか」
風 「そんな事って…!」
俺が少し怒りめに言うと豪炎寺は口元をニヤつかせた
風 「豪え…ふむっ…!?」
俺が言葉を発すると同時にキスで口を塞がれた
豪炎寺の舌が俺の中に浸入してくる
風 「…んくっ……ふぁ………ご…えんじ…?」
豪 「不釣り合い?そんな事無いぞ」
風 「いいよお世辞なんて…」
豪 「本当だ…お前は俺に無いもの…お前なりのよさを持っている」
風 「よさ…?」
豪 「スピードの速さだったり、仲間思いだったりな」
風 「豪炎寺のが仲間思いだろ!いつも気にかけてくれて…」
豪 「お前は皆の事を本当によく見てるんだ」
風 「…」
豪 「大丈夫…俺はどんな風丸でもずっと…大好きだ…」
豪炎寺はそう言うと俺を抱きしめてくれた
風 「…ありがと…俺も大好き…」
抱きしめる力を強く返す…
俺…少しナーバスになりすぎてたかな…
豪炎寺の言葉を聞いて安心した…
でもやっぱり少し不安も残ってるんだ…
でも…
風 「…俺…豪炎寺と差が開かないように頑張るから…絶対…」
豪 「差なんて……(クスッ)わかったよ…一緒に頑張ろうな…」
風 「あぁ…」
豪炎寺は「差なんて無い」と言おうとしてくれた…けどあえて言わずに「頑張ろう」って言ってくれた
そっちのがありがたい…
俺達はしばらくして部室を出て練習に戻った
あとで鬼道に怒られたのは言うまでもないな
END
→あとがき