小説(風吹長編)

□過去と双子
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事件から数週間後




あの雪崩の事件で僕の両親とアツヤが死んだ


僕は運良く…

いや、父さん達が自分を犠牲にして僕を車から放り投げてくれたお陰で助かった


そんな僕は親戚の家に預けられて、今はそこで暮らしている


何の不自由もない


親戚の人も凄く優しくしてくれる

サッカーも続けさせてくれた



だからこそ、僕は自分が憎かった


家族は死んでしまったのに僕だけがのうのうと生きている


そんな事は果たして許されるのだろうか…


けど…

この命は父さん達が助けてくれた命だ


僕が元気に生き続ける


それが今の僕に出来る親孝行なんだ…



そう思った





そして暫くした時の事




その日も僕はサッカーをしていた


アツヤが楽しくやっていたサッカー

アツヤの為にも頑張らなくちゃ…






『─兄ちゃん全然駄目!』



どこからともなく聞こえたその声は紛れもなく、弟のアツヤの声だった


「アツヤ…アツヤなの?」




マフラーを触り問いかける


すると自分の意識が薄れて何かに取り憑かれるような気がして僕…吹雪士郎は気を失った



周りから見た姿はいつもの吹雪士郎ではない


髪が大きくはねて目つきが獣のようにするどくなっている


相手からボールを瞬時に奪うその姿は数週間前に見られていた吹雪アツヤのプレイそのもの…








吹雪士郎の中にもう1つ…



吹雪アツヤと言う人格が生まれたのだ









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