英才の拾い物

□拾い物と記憶の手懸かり
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覚醒すると三毛がいない。後ろ髪も結んである。思考が停止寸前になる。

…ちょっと待て?私の記憶が正しく、今の状況を整理すると私は一度起きたことになる。

そして、それは夢ではなく。夢ではないということは、私は、まさか。


「…口付けていた、よな…?」


自分でもよくわからない。自然に、当然の如く体が動いて口と口が重なって。

…それで。

そのあと、また寝た。

…待て、そもそもなんで口付けた?いや、わからない、だから体が勝手に、

何をしているんだ私は、

今更顔が熱くなる。戻れるものなら戻りたい。

しかし戻れない。戻れるわけがない。

…そもそも、私が寝惚けるのはあいつのことを調べているせいで。

はじめから寝ないことになるなんて思っていなかったが、あれもまたあいつのせいで。

だから要するに、その礼を体で払ってもらった、というまでで、

…足りない気もするが、そうだな。そういうことにしておくのがいいだろう。

はぁ、と溜め息を吐いて寝台から降り鎧を纏う。

留め具を着けたところでまた溜め息を漏らすと戸が開いた。


「鍾会さん、」

「っ、」


少し呼吸の荒くなった三毛が私の姿を見てほっと息を吐く。

私は少し、視線を反らす。


「よかった、起きてたんですね。」

「あ、ああ。」


にしても毎回毎回なんでこいつは平気なんだどうかしてるぞどういう教育を受けてきたんだ…!!


「長谷堂城に行ってた方々が戻ってきたんですが…。」

「…?なんだ、何かあったのか?」

「捕虜だった三人の姿が見えなくて。」


不安げに呟いたそれを聞いて眉間にしわを寄せる。

どういうことだ?

とにかくこのままでも仕方がない。部屋から出て直接見に行くことにした。









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