英才の拾い物

□拾い物と小休止
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「三毛いるかー?」

「あっ昨日の妖魔さん。」


早く起きたので鍾会さんを起こして顔が赤かったので熱をはかったら案の定熱くて。

風邪ですか、なんて騒いだらひっぺがされた。

着替えるようだったのでそっぽを向くと入ってきた妖魔さん。

私の名前を呼んだので反応をする。


「どうしたんですか?」

「今日も手伝ってくれないか?」

「えっ、と。」


ちら、と鍾会さんを見る。

凄い不機嫌な顔をされる。


「鍾会、こいつ貸してくれ!!」


頼む!!と手を合わせて頭を下げた妖魔さん。

おいだからこの妖魔さん礼儀正しすぎだろ。

それに対して鍾会さんは。


「…。」


相変わらず渋い顔。

妖魔さんを睨んでいるようにも見える。


「こいつがいたらすごい助かるんだって!!」


ぱし、と妖魔さんが私の腕を掴んだ瞬間。

ぐい、と鍾会さんが私の手を引く。

妖魔さんの手が必然的に離れる。

ぎゅ、と着替えてる途中で上半身裸状態の鍾会さんに抱き締められる。

ちょっ、えっ、何これ。

顔が赤くなるのを感じる。だから、なんだよこれえっ!!


「断る。」


抱き締めたまま妖魔さんに威嚇するように放たれた一言に私まで驚く。


「…今日は、駄目だ。」

「へっ?」

「明日になったら貸す。」

「あ、お、おう、ありがとな!!じゃあ明日くるわ。」


えっ、鍾会ってそういうシュミ?と呟きながら妖魔さんは去っていく。

…そういうシュミ?

あっ、私男装して…。

ぱ、と鍾会さんの顔を見ると。

…なんか、青ざめていた。







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