英才の拾い物

□拾い物とかくれんぼ
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「今日もお仕事頑張るぞ!!」

「大人しく部屋にいろよ。」

「はいっ!!いってらっしゃい鍾会さん!!」

「朝から元気だな…いってきます。」


部屋から出ていく鍾会さんを見送ってからまた寝台に座る。

さて。今日も安定のすることがない。である。

どうしようかなぁ。なんて思いながら寝台に寝転ぶ。この前の書物は鍾会さんに奪われてしまったし。

うーん、と唸りながら考えを回らせていると誰か入ってきた。とりあえず座り直す。


「あれ?ここ鍾会の部屋じゃなかったか?」


…人間じゃない。なんか気味の悪い肌の色してる。

…とりあえず、返事返事…。


「いえ、あの、留守を任されてるので、大丈夫です。ここ鍾会さんの部屋ですよ。」


低めの声で対応するときょとんとしたあと困ったような顔になる。

異様な容姿…適当な憶測で言うとこの人が妖魔かな…形容しがたい姿をしてる。

そう考えながら警戒を含めて見ていると何か思い付いたように困ったような顔をぱぁっと明るくさせた。


「お前は、手、空いてるか?」

「えっ、」


…いいのかな。ここを離れて。

…正直、ここにいても暇だし…いや、でも鍾会さん戻ってくるかな…。

…置き手紙をしよう。この間読んだ書物で言語は書ける。


「手、空いてます、けど…ちょっと待ってくださいね。」


さぁどうしようどこに書こう。

私なんか持ってなかったっけ?持ってるわけないね!!

もぞもぞと服を探ると一片の枝。

…これいけるか?いけたとしても気付くだろうか。

あ、少し服の布を裂こう。それを巻けば気付くかな。

考えるが早いか、びっ、と服を少し裂いて枝に巻き付ける。そして枝に少しお仕事してきます、と彫って。


「よし!行きましょう!!」

「おう、突然だったのにありがとうな!助かった。」

…妖魔さん案外礼儀正しいぞ…!!







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